2017 Fiscal Year Annual Research Report
有限要素法を用いた木摺漆喰壁のせん断抵抗機構の解明
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17H00399
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 直之 東京大学, 生産技術研究所, 助教
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 木摺漆喰 / 有限要素法 / せん断剛性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近代木造建築に広く用いられてきた木摺漆喰壁の構造性能評価の基礎的な検討として、漆喰と木摺の連動がせん断性能に与える影響を検討することを目的とする。具体的には、過年度に実施した材料実験および要素実験を対象として有限要素解析を実施した。研究は下記の内容で行った。 1) 過年度の材料試験・要素実験結果の再検討。 2) 汎用有限要素法解析プログラムを用いた、木摺材および漆喰材料の材料モデルの検討 3) 同手法による、木摺漆喰要素試験体の解析モデルの構築、および木摺、漆喰の材料モデルを適用した解析と要素実験との比較 1) 解析の予備検討として、過年度の材料試験及び要素実験結果を再検討し、剛性算出方法の検証、各試験体の破壊モードの分類に基づく抵抗要素の推定を行った。 2) 上述の実施済みの漆喰の材料試験(圧縮試験、せん断試験)結果を参照し、弾性剛性を基準として適切なモデルを推定した。材料試験においては横ひずみの測定によるポワソン比の測定が困難であったため、ポワソン比を変えた解析を複数実施し、妥当な値を推定した。木摺材料は要素実験に使用した材料の特性を適用した。 3) 木摺漆喰要素試験体の解析は、木摺のみの試験体、および漆喰を塗り上げた試験体に対する解析を実施した。前者に対する解析は、実験、釘のせん断剛性による簡易推定、有限要素解析による解析の弾性範囲での比較を実施した。後者に対しては、木摺のみの試験体との差分から、漆喰層と漆喰と木摺の連動による剛性を算出し、有限要素法による解析と比較し、単純な漆喰版のせん断との差に関して考察を行った。 研究成果としては、漆喰と木摺の連動のミクロなメカニズムについては未解明の点が残ったが、単純な漆喰版と、四周及び木摺空き部分における拘束を考慮した漆喰版のせん断挙動の違いが示された。
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Research Products
(2 results)