2017 Fiscal Year Annual Research Report
アサギマダラ成虫の追尾行動を解発する信号刺激の解明
Project/Area Number |
17H00433
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Research Institution | 千葉県立千城台高等学校 |
Principal Investigator |
善養寺 聡彦 千葉県立千城台高等学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | アサギマダラ / 追尾行動 / 信号刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
アサギマダラ(タテハチョウ科)には興味深い行動がある。白いタオルを回すと飛翔中の蝶が飛来し, 難なく捕獲される。「白いタオルを回す」動作の中に, 同種の個体に対する追尾行動を解発する信号刺激が隠されている。本研究は, この信号刺激の解明を最終目的とする。白いタオル以外に蝶を誘引するものを見いだし, それらの共通点から刺激要因を解明して行く。 この行動は実験室の中で再現が困難で, また蝶の移動期(4月~6月, 9月~11月)のみにはっきりと見ることができ, さらに蝶のコンディション(吸蜜時以外, 環境, 天候, 時間帯)に強く影響される。そして実験は定量比較を目指すため, 多くの蝶が集まるポイント, すなわち全国各地のマーキングポイントで行わなければならない。 野外で定量的なデータをとるために, 市販のソーラーバタフライを利用した実験を考案した。ソーラーバタフライの翅に各素材を貼って稼働し, 同環境で, 複数の素材について同時に試行できる。そして誘引される個体数によって, 定量的に評価する。 実験は, 大分県姫島(5月), 群馬県丸沼(8月), 長野県大町市(9月), 京都市水尾(10月), 鹿児島県喜界島(11月), 沖縄県西表島(2月)で行った。今シーズンは蝶の個体数が少なく, 蝶の反応が弱かったことから, 定量分析に耐えるデータは少なかった。しかし誘引力を持つ素材の共通の性質から, 行動解発刺激解明へのヒントが得られた。実験によって得られた主な成果は以下の通り。 1. 新たに誘引効果が確認された素材 : 洗濯ネット(目の大きなものでは誘引力無し) 2. 実物(標本)の誘引力は白いタオルとほぼ同等 3. 動きがないと誘引力はない(タオル(白), ガーゼ, 実物) これまでに得られた実験結果から, 表面構造に鍵があると考えている。複雑な表面構造の特殊な反射特性が誘引力を生み出すのではないか。今後は, 光学や物質の表面構造の専門家に助言を受けながら, 解発刺激を解明して行く。
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