2017 Fiscal Year Annual Research Report
マダイ人工種苗で見られる体色透明化異常の原因遺伝子を特定する
Project/Area Number |
17H00469
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Research Institution | 有限会社まる阿水産 |
Principal Investigator |
澤山 英太郎 有限会社まる阿水産, 生産部開発課, 課長/会社員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | マダイ / 体色透明化 / 原因遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
マダイの人工種苗生産では、色素胞形成の遅滞により体色が透明化する体色異常(透明個体)が見られることがある。透明個体は虚弱であり、生残率が低いことから、種苗生産の生産効率を低下させる要因となっており、養殖集団から原因となる因子を排除することが求められている。これまでの研究から、潜性遺伝性を示すことが明らかとなっていると共に、実験家系を用いたゲノムワイド解析から甲状腺ホルモン合成に関わるDUOX2とDUOXA2の2つの遺伝子が候補遺伝子として考えられている。 本研究ではまず、DUOX2とDUOXA2のアミノ酸コード領域をクローニングし、透明個体で見られるアミノ酸配列の置換を伴う一塩基多型(SNP)を探索した。その結果、DUOX2では4個、DUOXA2では1個のSNPを見出した。次に、異なる複数の親魚集団から得られた正常個体(n=171)と透明個体(n=165)を用いて関連研究を実施した。その結果、DUOXA2の変異で最も有意なP値が得られると共に、透明個体では変異型がホモ接合で見ら、正常個体では正常型がホモ接合もしくはヘテロ接合で見られた。一方、DUOX2で見られたSNPの場合、遺伝子型と表現型が一致しない場合があり、遺伝子型によって表現型を完全に説明することはできなかった。 DUOXA2の変異が透明個体の原因因子と考え、タンパク質の高次構造に与える影響を膜貫通領域解析プログラムのSOSUIとTMHMMを用いて調べた。本変異はExon3に位置するが、両解析ソフト共に、正常型ではExon3部分で立体構造を取ることが予測されたが、変異が生じた場合には立体構造は形成されなかった。 本研究で得られた結果から、透明個体では、DUOXA2のExon3で見られた1塩基置換により、タンパク質の構造が正常型と異なることによって、正常発生に必要量の甲状腺ホルモンが合成されないために引き起こされることが示唆された。
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Research Products
(2 results)