2017 Fiscal Year Annual Research Report
ボリコナゾール代謝物濃度とCYP2C19遺伝子多型を考慮したTDMへの応用
Project/Area Number |
17H00478
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
茂見 茜里 鹿児島大学, 病院, 試験研究主任
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | ボリコナゾール / 遺伝子多型 / 治療薬物モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
アゾール系抗真菌薬のボリコナゾール(VRCZ)は、主にcytochromeP450(CYP)2C19により不活性型のNオキシド体(VNO)へと代謝され、非線形性の薬物動態を示す。一方、日本人にはCYP2C19変異型が60-70%と高頻度に存在し肝障害の発現リスク上昇が予想されるが、遺伝子多型解析は時間を要し汎用的とはいえない。VRCZ濃度に対するVNO濃度比(VNO/VRCZ)とCYP2C19遺伝子多型解析との関連性を検討し、VNO/VRCZ比がCYP2C19遺伝子多型の予測因子となり得るかを検討した。 2013年7月~2017年3月に鹿児島大学病院でVRCZを投与され同意が得られた入院患者を対象とし、VRCZ開始後3日目以降の投与前に採血した血漿中のVRCZおよびVNO濃度は高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて測定し、VNO/VRCZ比を算出した。CYP2C19の遺伝子多型解析はPCR法を用い、*1/*1をextensive metabolizer(EM)群、*1/*2、*1/*3をintermediate metabolizer(IM)群、*2/*2、*2/*3、*3/*3をpoor metabolizer(PM)の3群に分類した。本研究は鹿児島大学病院臨床研究倫理委員会の承認(番号#445)を得て実施した。患者は31例(男/女 : 18/13)、年齢53.9歳(16-80)、体重50.4kg(29.3-76.9)で、103の採血ポイントが得られ、EM/IM/PM群がそれぞれ11例/8例/12例であった。VRCZ初期投与量は3群間で差はなかったが、初回VRCZ濃度はEM群に比べ、IM、PM群はともに高値を示し(P<0.05)、肝障害のリスクとされる4.0μg/mLを超える症例の割合も高かった。一方、投与量調節後の2回目以降のVRCZ濃度は3群間で有意差はなかったが、VNO/VRCZ比はそれぞれ2.3±2.0、1.4±1.0、1.2±1.2とEM-IM間及びEM-PM間で有意に低値を示した(P<0.05)。VNO/VRCZ比は野生型に比べ変異型で低値となる傾向を示し、CYP2C19遺伝子多型の予測因子として投与量増減や血中濃度測定タイミングの指標などTDMへの有用性が示唆された。
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Research Products
(1 results)