2017 Fiscal Year Annual Research Report
ALT及びmiRNAを用いたアセトアミノフェンと抗腫瘍薬による肝障害増強の検討
Project/Area Number |
17H00481
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宗像 千恵 国立大学法人長崎大学, 病院, 技術職員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | mirRNA / 肝障害 / アセトアミノフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
目的 : アセトアミノフェン(以降APAP)は非オピオイド性鎮痛薬の中でも独自の機序で肝障害を引き起こすことが知られている薬剤であり、APAPによる肝障害を早期に察知することは患者に起こりうるリスクの軽減につながる。研究代表者は、これまでにAPAPと5-フルオロウラシル(以降5-FU)の併用による薬剤性肝障害の増強に関する探索を行った。HepG2細胞にAPAP(15mM)、5-FU(10mM)、2剤(APAP15mM、5-FU10mM)それぞれを投与した場合、2剤投与群で24時間後に優位にcell viabilityが低下するという結果を得た。そこでマウスを用いて更なる探索を追加するとともに、ALTとmiR122の両方を測定することでmiR122のバイオマーカーとしての有用性についても評価を行った。 方法 : ALTとmiR122の相関性の評価のため①マウスにAPAPを投与した場合のALTとmiRNAを測定した。またAPAPと5-FUの同時投与により肝障害が増強すると仮定し、②APAPと5-FUの2剤投与時の肝障害の程度をALTとmiR122測定により評価した。①C57BL/6マウスにそれぞれAPAP(100mg/kg、200mg/kg、300mg/kg)を腹腔内投与し、投与3時間後にALTとmiR122を測定しその上昇の程度を確認した。②C57BL/6マウスにそれぞれAPAP(300mg/kg)、5-FU(30mg/kg)、2剤(APAP(300mg/kg)+5-FU(30mg/kg))を腹腔内投与し、投与3時間後にALTとmiR122を測定しその上昇の程度を確認した。測定時間の設定はどちらもこれまで行った予備実験より最も肝障害の程度が高く現れる3時間後を選択した。 結果 : ①ではAPAPの用量が上がるとともにALT、miR122ともに上昇がみられ、2つには相関性が確認された。miR122は肝障害のバイオマーカーとして有用であることが判明したが、その値にはばらつきがみられ、更なる検討が必要と考える。②APAPと5-FUの相互作用による肝障害増強においては、in vivoでは増強が見られていたが、マウスでは優位な差を得られなかった。しかしALTが上昇せずmiR122がわずかに上昇したポイントがあり、これが微小な肝障害を検知していると仮定すると、更なる探索によりmiR122の有用性を高めることが可能と考える。 この結果は現在論文化を行っており投稿予定である。
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