2017 Fiscal Year Annual Research Report
安定な持続ドパミン刺激を指向したパーキンソン病治療薬血中濃度個体間変動要因の解明
Project/Area Number |
17H00482
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
山本 譲 旭川医科大学, 薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | パーキンソン病 / 血中濃度 / L-dopa |
Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 : パーキンソン病治療薬の体内動態においては個人差が大きいことが報告されており、特に、L-dopa体内動態の差については、個体内変動のみで説明できない事象が多く見られる。L-ドパの吸収・代謝に関しては、トランスポーター・代謝酵素が関与しており、現在我々が進行中の検討において、それらの遺伝子多型との関連を明らかにしつつある。ただ、検討中の症例の中には、L-ドパの消化管からの吸収が悪くなり効果発現までに時間を要する症例や、薬効が見られない症例があり、このような問題点の出現により、患者の日常生活に重大な支障をきたしている。また、近年パーキンソン病薬物治療において、ドパミン受容体への持続的な刺激を目指す概念(CDS : continuous dopaminergic stimulation)が提唱されており、安定した血中濃度を維持する必要性が求められている。よって本研究ではパーキンソン病治療薬の体内動態の個体間変動メカニズムを明らかにし、更に安定したCDSを可能とすべく血中濃度を最適化し、治療効果を改善することを目的とした。 ○研究方法 : パーキンソン病患者において、単独またはL-dopaとCOMT阻害薬を同時に服用し、服薬前と服薬後に経時的に静脈血を採取し、L-dopaおよび3-OMD血中濃度をHPLC-ECDにより測定した。同時に吸収・代謝に関与する酵素の遺伝子多型を調べた。本研究は旭川医科大学倫理委員会および京都大学医の倫理委員会の承認を得て行った。 ○研究成果 : 本年度は新たに4例の血中濃度測定および遺伝子多型判定を行った。その結果、L-ドパおよびCOMT阻害薬の投与によるL-ドパ血中濃度変化について、遺伝子型の違いによる影響等、重要な知見が得られた。現在は症例数をさらに蓄積しており、他の遺伝子多型と体内動態・治療効果との関連について検討を進めているところである。
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