2017 Fiscal Year Annual Research Report
治療薬開発を目指した血管平滑筋細胞のPI3Kを介した増殖抑制の解析
Project/Area Number |
17H00495
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
内田 雅士 千葉大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 血管平滑筋細胞 / PI3K |
Outline of Annual Research Achievements |
目的 : 動脈硬化症は未だに直接的な治療薬が存在しない。肥厚形成の主要因は血管平滑筋細胞(SMC)のphenotypic modulationによる増殖能亢進である。よってphenotypic modulationのメカニズム解明は治療応用にとって必須であるが、生体内の状態を反映した分化型SMCの培養系が未だ確立されていない。本研究では通常のプレート培養で得られる動脈硬化型SMCと、ハニカムと呼ばれるI型コラーゲン3次元培養系で得られる分化型に近いSMCを用い、PI3K阻害剤による増殖抑制の新規メカニズムと毒性を明らかとすることを目的とした。 方法・成果 : ハニカムでは蛋白合成が抑制されており、かつ翻訳開始に関与し蛋白合成を促進するeIF4Bの発現低下(分解)が認められている。またプレート培養での検討からこの分解にPI3K経路が関与する可能性が示されている。そこでハニカムにおけるeIF4B発現とPI3Kの関連を調べた。まずプレート、ハニカム培養SMCのPI3K活性を測定したところハニカムでは活性低下を認めた。そこでハニカム培養SMCにPI3K経路を活性化するPDGFを添加しeIF4B発現を調べた。しかしPI3K活性化およびeIF4Bの発現上昇は認められなかった。ハニカム培養において外的因子によるPI3Kの活性化は難しく今後は恒常的に活性化したPI3K class1の過剰発現の検討等が必要であると考えられた。 またGDC-0941の毒性についてプレートSMCに添加し培養するとviabilityを維持したまま増殖抑制が起きておりGDC-0941の細胞障害性は小さいと考えらえた。今後はハニカムにおける長期添加を行い毒性の有無の確認が必要である。
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