2017 Fiscal Year Annual Research Report
放射線誘発口腔粘膜炎に対するスタチン系薬剤の治療効果の機序解明
Project/Area Number |
17H00500
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
済川 聡美 愛媛大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | スタチン系薬剤 / 放射線誘発口腔粘膜炎 / ハムスター |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】がん放射線治療は、臓器あるいは感覚器などの機能・形態を維持することが可能で、がん根治療法としての役割が増大している。一方、副作用の一つである口腔粘膜炎は頭頸部放射線療法時の殆どに発症し、口腔内から咽頭に至るまで重篤な粘膜障害を引き起こす。口腔粘膜炎に対する有効な治療薬剤はなく、臨床では局所麻酔薬や鎮痛・抗炎症薬による対症療法が行われている。現在、脂質異常症に使用されているスタチン系薬剤は抗炎症作用を有することが報告されており、炎症が深く関与する口腔粘膜炎に対する予防・治療効果が期待できる。そこで、我々は口腔粘膜炎用薬の開発・開拓を目的とし、がん放射線療法時の口腔粘膜炎に対するスタチン系薬剤の効果について動物モデルを用いて評価した。【方法】6週齢の雄性Syrian hamsterのチークポーチに35Gyの放射線を照射し、口腔粘膜炎モデルを作製した。放射線照射当日(day0)より、スタチン系薬剤投与群(プラバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン)とvehicle投与群の4群に群分けし、day13まで経口にて薬剤の投与を行った。口腔粘膜炎の重症度は0-5の6段階にて肉眼的なスコアリングを行った。観察期間最終日のday14にチークポーチをサンプリングし、炎症の指標として好中球ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を測定した。組織学的な評価としてはH&E染色を行った。【成果】day14の肉眼的な口腔粘膜炎スコアはプラバスタチン投与群でvehicle投与群と比較し有意に低下した。また、炎症の指標であるMPO活性はスタチン投与群の全群でvehicle投与群と比較し有意に低下した。H&E染色の結果においても、スタチン投与群では上皮の剥離がvehicle投与群と比較し軽微であった。以上の結果より、スタチン系薬剤の持つ抗炎症作用により、放射線誘発口腔粘膜炎の悪化予防効果が期待できる。
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Research Products
(1 results)