2017 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期におけるreelinをターゲットとした統合失調症発現メカニズムの解明
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17H00509
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北川 佳奈子 名古屋大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | ADAMTS-3 / Reelin / 統合失調症 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 統合失調症は、幻覚妄想などの精神機能障害を呈する疾患であり、統合失調症の病態には神経構造の異常が関与しているが、そのメカニズムは解明されていない。我々は今回、統合失調症発症の一因となる分子としてreelinに着目した。reelinは層構造形成に必須のタンパク質であり、reelinが欠損すると、神経細胞の異常配置が認められ、統合失調症様症状を示す。これまでに、reelinの分解酵素としてa disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs(ADAMTS)ファミリーが提唱され、新たな創薬標的として注目されている。本研究では、脳で高発現するADAMTS-3をノックダウンすることで、胎生期の脳にどのような影響を及ぼすかを解明し、統合失調症の新規治療法開発を目指した。 【研究成果】 (1) 胎生期マウスへのADAMTS-3のshRNA導入 : 子宮内電気穿孔法を用いてADAMTS-3のshRNAとGFPを発現するplasmidを胎生期マウスの脳内に導入し、ADAMTS-3遺伝子ノックダウンマウスを作製した。免疫組織化学法によりshRNAの発現を確認した結果、GFPの発現が認められたことから、shRNAが標的細胞に導入されていることを確認した。 (2) ADAMTS-3ノックダウンにおける大脳皮質の層構造の解明 : ADAMTS-3のshRNAを導入した胎児の脳を1週齢の段階で回収し、免疫組織化学法により、脳神経構造を観察したところ、コントロールマウスと比較して、ノックダウンマウスの層構造に大きな差異は認められなかった。 本研究では、胎生期の野生型マウスにADAMTS-3のshRNAを導入したところ、胎生期のADAMTS-3阻害が脳神経構造に大きな変化は認められなかった。ADAMTS-3の他にもreelin分解活性を有するADAMTS-2が脳内に存在する。今後は、ADAMTS-2についても検討して、reelinをターゲットとした精神疾患の新規治療法の開拓をする必要がある。
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Research Products
(1 results)