2017 Fiscal Year Annual Research Report
心不全患者における内服遵守スクリーニング法および心不全手帳を用いた教育法の確立
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17H00524
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 寿樹 東北大学, 大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | ハートチーム / 心不全手帳 |
Outline of Annual Research Achievements |
心不全患者は入退院を繰り返すと予後が悪化していくと言われており、早期発見と適切な介入が患者のQOL改善や死亡率の低下に繋がると考えられる。当院循環器内科においては、医師、薬剤師、看護師、理学療法士、外来看護師より成るハートチームが、様々な取り組みを行っている。薬剤師は、患者教育や内服遵守の評価と向上支援に努めている。また、心不全手帳を作成し、服用目的を正しく理解していただくよう患者教育に努めている。そこで、心不全患者を対象に心不全手帳による教育が内服遵守の向上に有用かを調査した。 当院循環器内科の入院患者に対して、内服遵守に関連する5つの質問(「それぞれの薬の服薬理由を知っていますか」「重大な副作用や内服の注意点を知っていますか」「自分だけの判断で薬を飲むのをやめることがありますか」「薬を飲むことに無関心ですか」「薬を飲み忘れますか」)に対して「はい」「いいえ」で回答していただき、できていない場合を1点として5点満点で評価した。心不全手帳を用いて退院指導を行った前後で、5項目の点数の変化を評価した。対象者は55名(平均年齢64.8±14.6歳)であり、点数の変化はそれぞれ、「それぞれの薬の服薬理由を知っていますか」0.15点→0.05点(P=0.06)、「重大な副作用や内服の注意点を知っていますか」0.27点→0.20点(P=0.25)、「自分だけの判断で薬を飲むのをやめることがありますか」0.05点→0.07点(P=0.66)、「薬を飲むことに無関心ですか」0.18点→0.18点(P=1.00)、「薬を飲み忘れますか」0.09点→0.07点(P=0.66)と、有意な変化は認められなかった。本研究では、心不全手帳の有用性を明らかにすることはできなかったが、対象者数の増加および層別化により、どのような特性を持つ患者において、有用であるかの検討を継続的に行っていく予定である。
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