2017 Fiscal Year Annual Research Report
B型肝炎治療におけるテノホビル起因性腎障害の危険因子探索およびその腎障害性の解明
Project/Area Number |
17H00532
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
嶺 豊春 国立大学法人長崎大学, 病院, 技術職員
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Project Period (FY) |
2017 – 2018
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Keywords | 抗HBV薬 / 腎障害 / 臨床使用実態調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度奨励研究では、核酸系逆転写酵素阻害剤テノホビル(TDF)製造販売後の副作用情報を迅速に収集・把握し、リスク最小化のための活動指針を確立する事を目的として、B型肝炎患者を対象にTDF使用実態調査を行い副作用の詳細な解析を行った。 平成28年から29年にかけてTDF使用患者を対象に腎障害を指標として後方視的に電子カルテ情報を用いた調査検討を行った。調査期間内の腎障害発現率は14%(4例/29例)、切替使用6%(1例/16例)、新規導入23%(3例/13例)であった。高齢、併用薬多数の症例において腎障害発現が認められた。体重、切替前薬剤と腎障害発現の間に関係性は認められなかった。 平成30年度では、研究期間を延長のうえ調査範囲を拡大しエンテカビル(ETV)に関する追加調査を行った。ETV投与後の腎障害発現率は25%(4例/16例)に認められた。低体重、高齢、ETV/TDF併用の症例において腎障害発現が認められた。これらの結果を踏まえたうえで、次に同効薬剤間の腎毒性リスクを比較評価すること、併用薬存在時の腎毒性リスクを定量評価することを目的にin vitro細胞実験を計画した。モデル細胞にはヒト腎臓近位尿細管上皮初代培養細胞を、抗HBV薬にはTDF、ETVおよびラミブジンを、併用薬にはスルファメトキサゾール、トリメトプリムを選択した。薬剤曝露による細胞毒性の指標にはMTT assayを選択した。当初使用予定の培養実験施設が閉鎖された関係で計画にやや遅れが生じているが、現在新たな実験施設と提携のもと実験を継続中であり、今後成果を見いだす予定である。 本研究で得られた結果を臨床現場にフィードバックすることで、抗HBV薬起因性副作用を最小限に抑えるための薬剤選択や投与量・投与方法の確立、さらに腎障害発現時における変更策の確立に貢献することが期待される。
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