2017 Fiscal Year Annual Research Report
ワルファリンの薬効に影響を及ぼしにくいプロトンポンプ阻害薬の探索
Project/Area Number |
17H00538
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
井坂 由佳 筑波大学附属病院 薬剤部, 薬剤部, 薬剤主任
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 薬物動態学的相互作用 / ワルファリン |
Outline of Annual Research Achievements |
抗凝固薬のワルファリンは薬物動態学的相互作用の影響を受けやすく、併用によって薬効指標のプロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)を変動させる薬剤が数多く報告されている。プロトンポンプ阻害薬(PPI)はワルファリンと併用される割合が多い(当院では約50%)。オメプラゾール、ランソプラゾールとワルファリンの併用では薬物代謝酵素CYP2C19の阻害を介した薬物相互作用(PT-INRの変動)への影響は既に報告されているが、2011年発売のエソメプラゾールの併用がPT-INRに及ぼす影響は十分に明らかでない。本研究では、ワルファリンによる抗凝固療法中にPPIを併用した患者においてPT-INRの変動、および血中ワルファリン濃度の変動を調査し、ワルファリン服用患者へのPPIの影響を明らかにすることを目的とした。 研究目的を達成するために、下記の(1)、(2)を実施した。 (1) ワルファリン内服中にPPIを服用した患者を対象とし、後方視的に調査した。その結果、ワルファリンとエソメプラゾールの併用による薬物相互作用は臨床的に問題とならないと考えられるが、肝機能が低下している患者では、PT-INRの延長が起きやすいために注意が必要であると考えられた。また、ワルファリン内服中に他のPPIからエソメプラゾールに変更した患者において有意なPT-INRの変動は観察されず、ワルファリンの効果に対するPPIの影響が小さいことが考えられた。 (2) (1)の調査において、調査した患者群全体ではPPIの投与によりPT-INRの有意な変動は見られなかったが、中には急激なPT-INRの変動が見られた患者も存在した。PT-INRは食事内容や全身状態などの影響因子が多く存在するため、薬物相互作用以外の影響因子を除外するためにはワルファリンの血中濃度測定を行いPT-INRとの関連の調査が必要だと考えられる。そのため、ワルファリンの血中濃度測定に向けた検討を開始し、体制を整備した。今後、血中濃度測定を行う予定である。
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Research Products
(1 results)