2017 Fiscal Year Annual Research Report
人工心肺施行中の遊離形セファゾリン濃度が著名に増加する原因究明と適正投与法
Project/Area Number |
17H00542
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
朝田 瑞穂 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | セファゾリン / 人工心肺 / 蛋白結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】術中に人工心肺を用いる場合、体液量増加、血清アルブミン濃度低下など薬物体内動態に影響する多くの生理因子が変動するが、心臓手術で汎用されるセファゾリン(CEZ)に関して、生理因子変動を考慮した詳細な薬物動態の検討はなされていない。本研究では、人工心肺によるCEZ体内動態の変化を母集団薬物動態(PPK)の手法で検討した。 【研究方法】東京医科歯科大学医学部附属病院で、人工心肺を実施した推算糸球体濾過量(eGFR)≧30ml min^<-1>の成人患者を対象とし、手術中経時的に複数回採血した。CEZ総濃度および遊離形濃度は、HPLC法により測定した。CEZ総濃度は非線形混合モデル法(NONMEM)を用いて解析し、PPKパラメーターと変動要因を解析した。PPKモデルにはCPB効果をコンパートメントのオン/オフで表現した1-コンパートメントモデルを採用し、個体内変動には比例誤差モデルを採用した。血漿CEZ蛋白結合の個体内変動は、血漿アルブミン濃度と相関する最大結合能(BMAX)を仮定したLangmuir式により解析した。本試験は、事前に東京医科歯科大学医学部倫理審査委員会の承認を受け(M2000-1895)、患者から文書同意を取得した後行った。 【研究成果】27名から計199点の血中濃度データセットが得られた。最終PPKモデルの母集団CLとVdの推定値は人工心肺施行前後で異なり、それぞれ2.02および2.63(L h^<-1>)、9.9および12.6Lであった。また、CEZの血漿中遊離形分率は人工心肺中に増加したが、その変動はBMAX=150×(血清アルブミン値/3.07)0.94(mg L^<-1>)でモデル化できた。本研究で得られたPPKモデルは人工心肺を利用した心臓手術中の血漿中遊離形CEZ濃度を精度良く予測することが可能であり、今後のCEZ感染予防プロトコール策定に有用であると考えた。
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Research Products
(1 results)