2017 Fiscal Year Annual Research Report
血液浄化条件を考慮した重症患者におけるガンシクロビルの母集団薬物動態モデルの構築
Project/Area Number |
17H00546
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 達也 千葉大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | ガンシクロビル / 腎代替療法 / 母集団薬物動態モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】 ガンシクロビル(GCV)はサイトメガロウイルス(CMV)感染症に用いられる抗ウイルス薬であるが高い有効性が示されている反面、骨髄抑制や汎血球減少等の致死的な血液毒性が臨床上問題となる。GCVによる有害事象が出現する要因として血中濃度と抗ウイルス効果および有害事象との関連性を示したデータが乏しく、有効血中濃度域が明らかにされていないことが挙げられる。またGCVは腎排泄型薬物であり腎機能に応じた投与量調節が必要不可欠であるが、重症感染症患者においては急性腎不全を併発することが多く、様々な血液浄化条件による腎代替療法(RRT)が行われる。しかし、RRT施行中におけるGCV投与量の指標はほとんど存在せず、このことがより一層治療を困難にしている。そこで我々はGCV血中濃度測定を行うことで有効血中濃度域を明らかにし、さらに血液浄化条件を考慮した母集団薬物動態モデルを構築することでGCVによる致死的有害事象の発現率軽減および救命率向上に寄与できるものと考えている。本研究はGCVによる有害事象の発現率軽減および薬物治療強度の維持または向上を目指して、血液浄化条件を考慮した母集団薬物動態(PPK)モデルの構築を目的とする。 【方法】 ・測定系の確立 既報を基に当院で測定可能なHPLC-UVによる条件を検討した。 GCVの標準試料200μLにアセトニトリル200μLを添加し、遠心分離後の上清を測定試料とした。 【結果・考察】 コントロールをブランク血漿で調製することで前処理に約15分、1検体あたり25分で測定可能となった。GCVは保持時間が約3.9分で検出可能となり、ピーク高さは0.25-20μg/mLの範囲でR^2=0.992と良好な直線性を示した。一方で2.0μg/mL以下の低濃度域では臨床検体で検出するために十分な感度を得ることができなかったため、さらなる検討が望ましいと考えられた。
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