2017 Fiscal Year Annual Research Report
卵白アルブミンの消化管吸収と経口感作におよぼすアスピリンの影響とメカニズムの解明
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17H00550
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福島 隆宏 広島大学, 病院 薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | IgE / 卵白アルブミン / NSAIDs |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的 : 薬剤による消化管組織の障害が食物アレルゲンの感作に影響するか否かは不明である。本研究では、消化管組織傷害の頻度が高いアスピリン(ASP)とインドメタシン(IND)について、OVAの経口感作と経皮感作におよぼす影響を調べた。また、NSAIDsによる消化管障害とOVA感作増強との関係性を組織学的に明らかにすることを試みた。 研究の成果 : ラットにOVAを連日で4週間、経口投与する方法により経口感作モデルを作製した。OVAの経口投与前にASPまたはINDを経口投与した結果、投与開始2~3週目よりIgEおよびIgG1抗体価の上昇傾向が確認された。これらの結果から、ASPやINDはOVAの経口感作を増強することが示唆された。NSAIDsの投与開始2週間後に消化管を摘出し、組織像を観察した結果、ASPおよびINDを投与した個体で消化管障害が認められたが、IgE抗体価の上昇との関連性は認められなかった。次に、OVAの経皮感作におよぼすNSAIDsの影響を解析するため、OVA溶液を浸透させたガーゼを貼付し、週3回の頻度で交換する方法により経皮感作モデルを作製した。その結果、経皮感作モデルにおいても経口感作時と同様、ASPやINDの処置によりIgE、IgG_1の抗体価の上昇が確認された。このとき、経皮感作では経口感作よりもいずれの抗体価もより高い傾向にあった。さらに、NSAIDsによる消化管障害の発症を抑制するミソプロストールをASPの投与前に経口投与した結果、経口感作および経皮感作のどちらのモデルにおいても、ASP単独投与時との有意な変化は認められなかった。NSAIDsによる消化管組織障害と感作増強との関連性を明らかにするため、今後、処置時間を延長して検討を行うことも検討し、また経皮感作時においても同様に組織学的評価を行う予定である。
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