2017 Fiscal Year Annual Research Report
がん化学療法における吃逆の実態把握とエビデンスに基づく治療法の精査・確立
Project/Area Number |
17H00556
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大柳 元 東北大学, 大学病院, 薬剤師
|
Project Period (FY) |
2017
|
Keywords | 副作用 / 吃逆 / 適応外 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】副作用の予防や治療を目的として様々な薬剤が使用されているが、適応外もしくはエビデンスが構築されていない薬剤も多い。シスプラチンを用いたがん化学療法において、高頻度に吃逆の副作用が報告されている。吃逆に適応を有する治療薬は、本邦ではクロルプロマジンおよび呉茱萸湯のみであるが、実際は各施設において適応のない医薬品が適応外使用として用いられている。しかしながら、明確なエビデンスは存在しない。適応外の薬剤が広く使われている現状において、適応外の薬剤が用いられる根拠や各薬剤の有効性および安全性を明らかにすることが重要である。 【目的】本研究の目的は、本邦の文献調査を通して、吃逆治療として用いられている各薬剤の有効性および安全性を明らかにし、エビデンスに基づく吃逆治療を精査することである。 【方法】医中誌Webにて、「吃逆」、「治療」、「各薬剤名(クロルプロマジン、呉茱萸湯)」をキーワードとするand検索により文献調査を行う。薬剤ごとに適応の有無、研究デザイン、掲載誌名、発表年、用法用量、データ数、結果、有害事象を集計する。 【結果】医中誌Webにて、「吃逆」、「治療」、「各薬剤名」をキーワードとするand検索により文献調査を行った結果、239件の文献が抽出され、そのうち原著論文は58件、学会発表要旨が181件であった。原著論文58件および学会発表要旨181件のうち、症例報告はそれぞれ45件、160件であった。吃逆への適応を有さない医薬品の一般名で層別しても、文献の多くが症例報告であるという結果は同様であった。 【結論】本文献調査の結果、吃逆治療に対する適応外使用医薬品の根拠の多くが症例報告であり、有効性をランダム化比較試験で評価した和文原著はなかった。今後、海外文献調査を進め、さらにエビデンスの精査を行っていく予定である。
|