2017 Fiscal Year Annual Research Report
「病は気から」の検証-神経内分泌系による泌尿器がん進展に関与する修飾機構の解明-
Project/Area Number |
17H00581
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
伊藤 裕美 山形大学, 医学部腎泌尿器外科学講座, 技術員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 腎細胞癌 / β2-adrenoceptor / カテコールアミン |
Outline of Annual Research Achievements |
心理精神的ストレスは癌進行のリスクファクターと報告されている。神経伝達物質カテコールアミン(CA)は交感神経終末から放出され、αもしくはβ-adrenoceptor(αAR, βAR)を介して局所で作用する。多くの固形癌ではαよりもβAR活性化の報告が多く、βAR遮断薬の臨床的抗腫瘍作用が報告されている。腎細胞癌(RCC)では不明な点が多いことから、私はCAのRCC進行への影響とβAR遮断による抗腫瘍効果を明らかにすることを目的に研究を行った。 RCC細胞株(ACHN, A704, A498, 786O, 769P, Renca)のβAR(β1, β2, β3)発現をRT-qPCRおよびウエスタンブロットにて評価した。これらの細胞株全てにおいてβ1と比べβ2AR mRNAと蛋白質発現亢進を認めたが、β3AR mRNAと蛋白質の存在を確認できなかった。ACHNとA704ではイソプロテレノール(ISO, 1μM)刺激にて細胞増殖が10%増加した(MTSアッセイ)。一方、非選択的β1, β2AR遮断薬プロプラノロールおよび選択的β2AR遮断薬ICI118.551は細胞増殖を強く抑制し(各々IC50 : 48-93μM, 36-75μM)、選択的β1AR遮断薬アテノロールは300μMでも影響しなかった。さらにACHN、RencaにおいてISO、アドレナリン、ノルアドレナリン処理後の細胞内IL-6発現が、mRNA、蛋白質ともに処理1時間後に発現が亢進し、2時間をピークに24時間後にはベースラインへと下降したが、STAT3リン酸化の亢進を認めた。 CAはRCCにおいてβ2ARを介して細胞増殖促進に関与すること、CA刺激によるIL-6の一過性の産生亢進がSTAT3経路の持続的活性化を誘導することが示唆された。β2AR遮断はRCC新規治療標的となる可能性がある。
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Research Products
(2 results)