2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H00591
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岡田 怜美 国立大学法人長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 社会人大学生
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 便移植 / 肝再生 / 脂肪肝 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣に伴う、いわゆるメタボリック症候群による脂肪肝の増加に伴い、脂肪肝を背景肝とする肝切除症例が増加しており、脂肪肝に伴う肝再生不良が問題となる。近年、腸内細菌叢の研究が行われ、高脂肪食により誘導されたラット脂肪肝において、健常者と比較して腸内細菌叢の分布に差があることが明らかとなっている。また、臨床において、重症偽膜性腸炎に対する便移植の有効性が報告されている。これらの背景から、脂肪肝への便移植に着目し、健常便移植により腸内細菌叢を整えることで、脂肪肝が改善し、さらに肝再生促進が期待できると考えた。本研究では、脂肪肝導入ラットモデルを作製し、健常ラット便移植によって脂肪肝が改善するか否か、さらに肝再生促進効果があるか否かを検討することを目的とした。 SD系ラット(10~12週齢)を対象とし、①コントロール群、②高脂肪食群、③高脂肪食+便移植群の3群に群別し、①コントロール群には基本飼料を、②、③の高脂肪食群には高脂肪食をそれぞれ10週間与え、10週後に70%の肝切除を行うこととした。肝切除後に、③便移植群に対して、健常ラット便を投与し、肝機能評価、病理組織学的評価を行うこととした。 コントロール群と高脂肪食群において、それぞれ体重の変化を計測した。また、肝切除モデルを作成するために、麻酔導入したラットに70%肝切除を行い、肝切除モデルの作製が可能であることを確認した。定期的にラットケージより糞便を回収し、便移植を試みた。便移植後、肝再生を評価したが、明らかな差は認めなかった。課題として、便の成分解析が不十分であること、肝切除のタイミングが考えられる。肝切除前の腸内細菌叢の変化の解析が必要であると考える。
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