2017 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ・ランタンマウスを用いた、新規Vil1-Creマウスの遺伝子欠損効率の評価
Project/Area Number |
17H00593
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
青木 千春 大分大学, 医学部, 技術専門職員
|
Project Period (FY) |
2017
|
Keywords | Crcドライバー / in vivoイメージング / 組織特異的遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織特異的遺伝子欠損マウスの作製にはCreドライバーと呼ばれる組織特異的プロモーター下でCreリコンビナーゼを発現するトランスジェニックマウスが必要である。新規Vil1-Cre(Tg(Vil1-cre)2Utr/Rbrc)マウスは、理化学研究所で開発された、マウス腸幹細胞特異的なvillin1プロモーター領域をBACライブラリーで構築したCreマウスで、従来より生理的な腸管上皮特異的Creリコンビナーゼの発現が期待されたが、このマウスの腸上皮特異的遺伝子欠損効率は未だに検証されていなかった。そこで、本研究では当マウスの遺伝子欠損効率を評価した。まず、新規Vil1-Cre(Tg(Vil1-cre)2Utr/Rbrc)マウスあるいは既存のVil1-Creマウスとナノ・ランタンマウスを交配し、得られたマウスのCreの発現を蛍光、発光およびPCRで解析した。ナノ・ランタンマウスは、Cre遺伝子が発現すると蛍光タンパク質Venusおよび発光タンパク質Renilla Luciferaseの遺伝子が発現し、蛍光および発光でその発現を観察することができる。in vivoイメージングの結果、既存のVil1-Creマウスは、腹部に限局した発光が観察されたが、新規Vil1-Cre(Tg(Vil1-cre)2Utr/Rbrc)マウスは、全身に発光が観察された。続いて、脾臓細胞をフローサイトメトリー法で観察したところ、既存のVil1-Creマウスおよびそのコントロールマウスの脾臓細胞には、Venusの発現はみられなかったが、新規Vil1-Cre(Tg(Vil1-cre)2Utr/Rbrc)マウスの脾臓細胞はコントロールマウスに比べ顕著なVenusの発現がみられた。最後に、各臓器でのCreの発現をPCR法で検討した。CreによりFlox遺伝子が欠損するとPCR産物が増幅できなくなるプライマーをデザインし検定を試みた。その結果、既存のVil1-Creマウスは、小腸および大腸にのみ遺伝子の欠損がみられたが、新規Vil1-Cre(Tg(Vil1-cre)2Utr/Rbrc)マウスでは、小腸および大腸に加え、解析した全ての臓器(尻尾、筋肉、肝臓、脾臓、腎臓、心臓、肺、脳)で遺伝子の欠損がみられた。以上の結果より、既存のVil1-Creマウスは、小腸および大腸で特異的にCre遺伝子が発現しているが、新規Vil1-Cre(Tg(Vil1-cre)2Utr/Rbrc)マウスは、全身で非特異的にCre遺伝子が発現していることが明らかになった。
|
Research Products
(2 results)