2017 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞療法治療効果予測のための抗Mesothelin抗体ELISA測定法の構築
Project/Area Number |
17H00595
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
石川 伸介 信州大学, 先端細胞治療センター, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 樹状細胞療法 / 抗Mesothelin抗体 / ELISA |
Outline of Annual Research Achievements |
Mesothelin(MSLN)陽性がん患者の血清中抗MSLN抗体価が、MSLNを標的とした樹状細胞療法の治療効果予測因子になるかという予測のもとに、血清中MSLN抗体価測定法を構築した。 ヒトMSLN蛋白(Glu296-Gly580)をマイクロプレートに固相化し, 検体中の抗MSLN抗体・二次抗体としてHRP標識抗免疫グロブリン抗体を反応させ、TMB基質システムを用いたELISA測定系の条件検討をした。抗原固相化濃度は2~5μg/mLを検討し、いずれも検量線の250ng/mLまで直線性が認められたため2μg/mLとした。標準物質用二次抗体(HRP標識Anti-Mouse IgG)の希釈倍率及び発色時間は、直線性が最も安定していた2000倍で6分間、検体用二次抗体(HRP標識Anti-Human IgG Fc)の希釈倍率は50000倍に設定した。この条件下で健常人3名、膵臓がん3名を用いて検体の希釈倍率を5~200倍で検討し、2群における差が明瞭となった100倍を採用した。低、中、高濃度検体の同時再現性(n=10)は、それぞれCV(%)が30.8、23.3、7.5となり、低濃度ほどばらつきがみられた。同一検体を用いたバッチごとの再現性(n=5)は、CV(%)が25.2、69.5、21.3と中濃度において大きなばらつきが認められた。 健常人21名、肺がん8名、膵臓がん7名のMSLN抗体価を測定したところ、肺がん群では健常人群に比して抗体価が高く、Steel-Dwass法により明らかに有意差を認めた(p<0.05)。一方膵臓がん群においては健常人群と比して抗体価が高い傾向は認められたが、有意差は認められなかった(p=0.08)。 以上より、さらに改良の必要はあるが、MSLN抗体価の測定が可能となり、肺がん群では健常人群に比較してMSLN抗体価が高いことが示された。
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