2017 Fiscal Year Annual Research Report
ニッケル錯体を利用したフルオロアルキル化による新規PETプローブ合成法の開発
Project/Area Number |
17H00609
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
隅田 ともえ 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, テクニカルスタッフI
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | PET / ニッケル錯体 / フルオロアルキル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的・意義・重要性】PET(positron emission tomography)は、放射性標識した生物活性物質を極微量投与することでその動態を「生きたまま」可視化・定量化できる非侵襲的な分子イメージング法である。これにより生体内の動的機能メカニズムの解明などの基礎研究だけでなく、疾病の早期発見・診断といった臨床への応用および創薬開発の効率化に繋がる。PET法をより汎用性の高い技術とするためには、強力なPETプローブ合成法の確立がその鍵を握っているが、汎用される放射性核種は半減期が極めて短く、時間の経過とともに標識生成物の放射化学収量は低下するため、PETプローブ合成には化合物の合成終盤でも使用可能な効率的かつ迅速に完結する反応が必要である。放射性核種[^<18>F]導入法として、より代謝安定な炭素一炭素結合形成による[^<18>F]フルオロアルキル基の導入は理想的な方法の一つであるが、そのような化学変換は難しく未だ達成されていない。本研究では、事前に調製したNi錯体を用いることにより、本課題に取り組んだ。【結果】まずサイクロトロンで生成した放射性核種を捕捉することにより、放射性[^<18>F]フルオロエチル化剤を調製した。従来の合成法では中程度~低収率にとどまっていたが、脱離基を変更することにより高効率に[^<18>F]フルオロエチル化剤を合成する手法を見出した。合成した[^<18>F]フルオロエチル化剤を事前に調製したNi錯体と反応させることにより効率良く目的の標識生成物の獲得に成功した。さらに配位子・溶媒・温度などを検討することによりモデル化合物の実用的なレベルでの放射性核種導人が可能な条件を確立した。モデル化合物の疎水性の影響により、HPLC精製に検討の余地を残したため、今後は引き続きHPLC分析条件の検討と、さらに実在するPET医薬品に対し本反応を適用させることにより本手法の有用性を示す。
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Research Products
(1 results)