2017 Fiscal Year Annual Research Report
希少脳腫瘍における分子・病理統合分類の確立と腫瘍免疫を標的とした治療法の確立
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17H00621
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
江崎 雄仁 慶應義塾大学, 病院薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 希少脳腫瘍 / 腫瘍免疫 / 分子・病理学的分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎管内と頭蓋内のPilocytic astrocytomaの違いを分子生物学的・病理組織学的に検索し比較する。また未だWHO gradeにも含まれていないが、臨床的に経験する、早期に再発、また明らかに病理学的に退形成性所見を有するものを含め、その予後を比較検討した。組織学的にanaplasiaを呈するanaplastic pilocytic astrocytoma(APA)は、VEGF-A/VEGFR1・2 signaling pathway及び、グリオーマ幹細胞マーカーの一つであるNestinの発現が非常に高く、low grade gliomaとは一線を画する組織像が得られた。 部位により再発率が明確に異なり、その背景としてまた、APAを含め急速に増大するPAに共通する染色体異常、及び脳幹脊髄PAに共通する染色体異常を認めた。 また、16例のSFT/HPC患者のPD-1、PD-L1およびTILの発現を免疫組織化学的によって調べ、予後との相関性を解析した。16人の患者のOS中央値は9.2年であり、生存患者の追跡期間は9.9年であった。再発は13例(81.3%)で認められ、6例(37.5%)で頭蓋外転移が認められた。PD-L1の発現は16例の腫瘍すべてで観察されたが、PD-1の発現は2例で観察された。CD3およびCD8の発現はそれぞれ12例および13例のTILにおいて観察された。PD-L1陽性腫瘍細胞の割合は、OS、無増悪生存期間、または無転移生存期間(MFS)とは関連していなかったが、PD-L1のびまん性染色は、TTFまでの時間が短くなる傾向を示した。同様に、PD-L1の強染色は、より短いMFSおよびTTFと関連していた。CD3またはCD8発現は、予後パラメータのいずれとも関連していなかった。PD-L1とCD8の分析では、diffuse PD-Llstainingでは、CD8が発現しないか、またはまばらなものとなり、TTFが短いことと関連し、MFSが短くなる傾向にあった。PD-L1はしばしば頭蓋内SFT/HPCにおいて発現され、びまん性またはPD-L1の強発現は頭蓋外転移の初期発生と関連している可能性がある。(論文投稿準備中)
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