2017 Fiscal Year Annual Research Report
タブレット端末を使用した書字能力の定量的評価の有用性
Project/Area Number |
17H00628
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堀江 翔 金沢大学, 附属病院, 作業療法士
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 書字 / 評価 / TraceCoder |
Outline of Annual Research Achievements |
書字能力の定量的な評価について, 我々は過去の報告において筆圧, 上肢の荷重量を中心とした多面的な評価を報告してきた. しかし実験装置のままではサイズや解析時間の点で, 臨床で使用することは困難であった. この度, タブレットPCにてなぞり動作を行い筆圧, スピード, 課題からのズレ面積などが計測可能で, かつ即座に被験者へのフィードバックが可能な機器TraceCoderTM((株)システムネットワーク)が開発された. 今回の目的は, TraceCoderを用いて過去の実験と同様の課題を実施し結果を比較することでTraceCoderの臨床応用を検討することである. 【研究方法】 対象は本研究に同意を得た右利きの健常大学生10名. 測定課題は円と三角の2種類の線画(大きさ約2.5cm)として, 見本に沿ってなぞり書きを行った. また図形を6区画に分け, 1区画毎にメトロノームに合わせてなぞり書きを行い, 被験者間の筆速をそろえた. 測定パターンとして書字に対する指示を変更して計測し(1)筆圧 : 「強い」・「弱い」(2秒1区画)(2)筆速 : 「速い」(1秒1区画)・「丁寧」(3秒1区画)の2課題4パターンを実施した. 測定項目は(1)筆圧(2)正確性 : 課題図形の線からずれた部分の面積(ズレ面積)とした. 【結果と考察】 平均筆圧は「強い」4.36N, 「弱い」1.18N, 「速い」2.88N, 「丁寧」2.81Nであった. ズレ面積は「強い」0.31c㎡, 「弱い」0.27c㎡, 「速い」0.35c㎡, 「丁寧」0.23c㎡であった. 筆圧は先行研究と同様の値を示したが, ズレ面積は先行研究の値(0.02~0.08c㎡)よりやや大きな値であったが, 速い・丁寧間で有意差ありと課題別の比較では同様の傾向を認めた. TraceCoderの測定値は先行研究と概ね同等と考えられ, 過去のデータと関連させた臨床応用の可能性が示唆された.
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