2017 Fiscal Year Annual Research Report
急性血液浄化療法における適正な予測因子に基づく抗凝固薬使用基準の確立を目指して
Project/Area Number |
17H00642
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
本間 祐平 旭川医科大学病院, 手術部, 臨床工学技士
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 回路内凝固予測因子 / 回路凝固予測診断法 / プロトロンビンフラグメント1+2 |
Outline of Annual Research Achievements |
集中治療における持続的腎代替療法(CRRT)は、近年腎機能補助のみならず炎症性サイトカイン除去の目的としても期待させている。24時間継続的に行う体外循環であり、抗凝固薬による管理を必要とする。そのモニタリングとして活性化全血凝固時間(ACT)を用いることが推奨されている。しかしACTの適正管理を行っても回路凝固による治療継続困難な症例は多く認め、適正な管理方法を示す指標がない。 我々は、過去の研究において、可溶性フィブリン(SF)が回路凝固をきたす際に高値を示す傾向があることを示した。しかしSFを用いた回路凝固診断には問題点として、偽陽性を示す可能性が指摘され、回路凝固診断法の確立には至らなかった。 そこで本研究では、より回路凝固診断法を確立したものとするため、トロンビンアンチトロンビン複合体(TAT)、プロトロンビンフラグメントF1+2(PF1+2)、トロンボエラストグラフィ-を分析し、新たな回路凝固予測因子の特定と回路凝固予測診断法の確立を目指した。 結果は、PF1+2(1200vs422)(P=0.0189)、TAT(22.9vs5.9)(P=0.0115)が回路凝固をきたした際に有意に高値を示す結果となった。過去の報告から回路凝固をきたす際にSOFA scoreやFDPを用いて回路凝固を予測する報告が散見される。そこで本研究において、SOFA score、FDPを用いて回路凝固を予測する場合(従来法)、それらにSF・PF1+2・TATを加え回路凝固を予測する場合(回路凝固予測診断法)をROC曲線にて算出した。結果はAUCにて(0.636vsO. 909)(P=0.0349)と回路凝固予測診断法にて有意に高値を示す結果となった。このことから、SF・PF1+2・TATは回路凝固を予測するマーカーとして有用であり、回路凝固予測診断法は有用である可能性が示唆された。
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