2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H00648
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
松永 崇志 大分大学, 医学部, 医員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 慢性中耳炎 / インフルエンザ菌 / Toll様受容体4 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性中耳炎や滲出性中耳炎の起炎菌は肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラ・カタラーリスが主であり、特にインフルエンザ菌は急性中耳炎罹患後に生じる滲出性中耳炎が遷延化する事が知られている。Toll様受容体4(TLR4)領域の遺伝子変異と小児中耳炎発症との関連が報告されており、当科でも急性中耳炎マウスモデルにおいてTLR4変異マウスでは早期細菌クリアランスが障害されることを報告した。しかし、慢性中耳炎の病態とTLR4変異との関連は未だ不明である。本研究では慢性中耳炎におけるTLR4の役割について検討し、慢性化のメカニズムとの関連性を明らかにすることが目的である。 C3H/HeJマウス(TLR4変異)とC3H/HeNマウス(WT)を用いて、顕微鏡下での耳管閉塞によるインフルエンザ菌性中耳炎マウスをそれぞれ作成した。3日後、1週間後に中耳貯留液を回収し、チョコレート寒天培地に散布して細菌の生菌数を測定した。3日後の鼓膜所見はC3H/HeJマウス群においてはいずれも白濁し、中耳炎を認めたが、C3H/HeNマウス群の半数は白濁を認めず、中耳炎を認めなかった。中耳貯留液内の生菌数はC3H/HeJマウス群がC3H/HeNマウス群よりも多い結果となった。一方、1週間後の鼓膜所見はC3H/HeJマウス群では33%のマウスにのみ白濁を認め、残る66%には中耳炎は認めなかった。C3H/HeNマウス群の鼓膜所見は全数白濁を認め、いずれも中耳炎であった。生菌数はC3H/HeNマウス群がC3H/HeJマウス群よりも多く、3日後とは異なる結果となった。 今後は引き続き採取した中耳粘膜と中耳貯留液よりRNAを抽出し、各種サイトカインに対する定量的RT-PCR法、中耳腔内の組織学的検討、中耳粘膜内のリンパ球に対するフローサイトメトリーによる解析を行う。
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