2017 Fiscal Year Annual Research Report
血小板凝集能測定装置を用いたHDLの機能評価法の構築
Project/Area Number |
17H00666
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
宮崎 あかり 信州大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 血小板 / リポタンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化Low-density lipoprotein(酸化LDL)は、心筋梗塞などを誘発する粥状動脈硬化症の原因となるほか、血栓形成にも関与していると考えられている。実際、酸化LDLの受容体であるCD36が血小板に存在し、酸化LDLによって血小板由来のケモカインが放出されることなどが報告されている。一方、High-densitylipoprotein(HDL)は酸化LDLとは反対に抗動脈硬化作用があり、その一つとして抗血栓作用が知られているが、その評価法は確立されていない。そこで、本研究では血小板凝集能測定装置を用いたHDLの抗血栓作用評価法の開発を目的とした。 血漿中リポ蛋白の影響を除外するため、ゲル濾過法あるいは遠心法による血小板精製法を構築した。LDLおよびHDLは超遠心法で分離した。LDLの一部は次亜塩素酸を用いて様々な条件下で酸化し、酸化法と酸化度の解析により、酸化LDL調整法を確立した。次に、精製血小板の凝集能をLDLあるいは酸化LDL添加と無添加で測定した。さらには、それらの血小板凝集実験に及ぼすHDLの影響を解析した。その結果、LDLおよび酸化LDLともに無添加の場合と血小板凝集能に有意な差はなかった。また、HDLの添加もそれらの凝集結果に影響を及ぼさなかった。 酸化LDLに関する結果は予想に反したが、LDLの過度な酸化は血小板凝集を阻害するという報告もある。血小板精製がすでに血小板の活性化を誘導していること、生体内における酸化LDLによる血小板凝集促進、HDLによるその抑制が血小板凝集という最終結果のごく初期段階の作用である可能性などが原因と考えられる。したがって、血小板試料の調製法、微小血小板凝集塊を検出可能な測定装置等による解析、さらには血小板表面マーカーや放出されるβ-トロンボグロブリンの解析など、異なる方法による評価法についても検討を実施中である。
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