2017 Fiscal Year Annual Research Report
長鎖脂肪酸を用いた塗布式口腔ケアによる抗がん剤治療時の口腔粘膜のバリア機能維持
Project/Area Number |
17H00680
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
寺澤 和恵 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 技術補佐員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 長鎖脂肪酸含有脂質 / 細胞間接着 / エンドサイートシス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 口腔組織は口腔内の常在細菌と絶え間なく侵入する外来性細菌に対する強力な生体防御機構をもつ。しかし抗がん剤により免疫機能が低下すると歯周組織への細菌の侵入が増加し、感染症による炎症が引き起こされる。これにより口腔機能が低下し栄養状態の維持が困難になり、全身への二次感染のリスクも増大する。そこで口腔組織の感染症対策はきわめて重要である。細胞間接着が消失すると細胞間隙への細菌の侵入を阻止できなくなるため、細胞間接着の維持は感染症対策に重要と考えられる。本研究では、長鎖脂肪酸含有脂質の投与による細胞間接着への影響を検討した。 研究方法 細胞間接着を形成する接着因子がエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれると細胞間接着が消失すると考えた。上皮細胞由来の培養細胞を用いてタイト結合を形成する細胞間接着因子クローディンの安定発現株を作成し、限界希釈によりクローンを作成した。細胞染色によりその中から実際にタイト結合を形成しているクローンを選択した。その細胞株に対して細胞表面に存在するタンパク質をsulfo-NHS-SS-ビオチンを用いてビオチン化した。その後37℃でインキュベートしてエンドサイトーシスを起こさせ、2-メルカプトエタンスルホネートを用いて細胞表面に残っている分子のビオチンを還元して除去した。細胞を可溶化してNeutravidinビーズによりビオチン化されたタンパク質を回収し、イムノブロットによりクローディンを検出した。この方法により細胞に長鎖脂肪酸含有脂質をあらかじめ取り込ませた場合のクローディンのエンドサイトーシスへの影響を検討した。 研究成果 当初の予想とは逆に、長鎖脂肪酸含有脂質の添加によりエンドサイトーシスが亢進された可能性を示唆する結果を得たが、細胞密度、脂質の添加時間を今後さらに検討していく必要があると考えている。
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