2017 Fiscal Year Annual Research Report
シリコーン多孔体の液体窒素保持能力を利用した小型ドライシッパーの実用化検討
Project/Area Number |
17H00684
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大矢 康貴 名古屋大学, 全学技術センター, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | シリコーン多孔体 / ドライシッパー / 液体窒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 : 凍結生体サンプルの輸送には、内部に液体窒素吸着材が埋め込まれた特殊な凍結試料搬送容器が使用され、-150℃以下という超低温を維持したまま安全に輸送できる。しかし、従来製品は、液体窒素の吸着に約2日間要するほか、大きさの制限等、使用しづらい面もあり、近距離輸送用により簡便で実用性の高い搬送容器が望まれている。そこで、従来製品の吸着剤に用いられている、ポリエステルに代わる液体窒素吸収材として、シリコーン多孔体 (以下、マシュマロゲル・Gen Hayase et al, Angew. Chem., Int. Ed. 2013, 52, 1986)を用いて凍結試料輸送容器としての実用性を示すことを目的とした。 研究方法と研究結果 : マシュマロゲルとポリエステルを市販の魔法瓶水筒に詰めて液体窒素を注ぎ込み、数分後に未吸着の液体窒素を排出して吸着量を比較したところ、マシュマロゲルで良好な結果が得られた。また、液体窒素吸着後のサンプルでは、長時間-150℃以下を保ち、ポリエステルの倍以上、およそ10時間の保温性が確認できた。次に、マシュマロゲルおよびポリエステルを詰めた同様の容器を用意し、マウス凍結胚の保温を行った。融解後の生存について確認したところ、ポリエステルでは4時間程度で全滅したのに対し、マシュマロゲルは9時間以上効果を発揮することがわかった。本研究における凍結試料輸送容器は特別に高価な器具を必要としないことから、実験従事者がDIYで準備することが可能である。液体窒素は完全に吸着しておりこぼれる心配が少なく、自家用車等で近隣施設に凍結生体サンプルを運ぶのに十分な性能を保持していることがわかった。
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