2017 Fiscal Year Annual Research Report
中等教育期における運動不振生徒の筋出力調節能力に関する研究
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17H00706
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡井 理香 神戸大学, 附属中等教育学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 運動不振生徒 / 筋出力調節能力 / 運動制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
■研究目的 スポーツや運動を苦手とし、体育の授業における学習場面においてもなかなか技能の向上がみられない生徒の運動制御を検討することを目的に、運動不振生徒の筋出力調節能力を検討した。 ■研究方法 神戸大学附属中等教育学校の体育授業で実施した各単元のスキルテストの評価がAもしくはB、かつ学期末評価における運動技能の達成度が60-90%の生徒をControl群、前者の評価がすべての単元においてC、かつ後者の評価が30%に満たない生徒をTarget群とし、各群8名(17±0.6歳)を無作為に抽出した。各被験者は前方に設置された視覚刺激に可能な限り素早く反応し、0%MVC(maximum voluntary contraction ; 最大随意筋力)から50%MVCまで出力を増加させるGeneration課題と、100%MVCから50%MVCへと出力を減少させるRelaxation課題の2種の出力調節課題を行った。各被験者の発揮張力について、要求した出力レベルに対する恒常誤差(CE)、絶対誤差(AE)および変動誤差(VE)を算出し、筋出力調節の正確性を評価した。これらのデータに基づき、各課題および群間の誤差を比較した結果、以下の2点が明らかとなった。 ■研究成果 Generation、Relaxationの各課題で要求した出力レベルの変化量は、両課題ともに50%MVCであったにも関わらず、ControlおよびTargetの両群において、GenerationよりもRelaxationで出力が小さく(p<0.001)、恒常誤差が大きかった(p<0.001)。このことから、出力調節の正確性について、出力を増加するよりも、減少する方が課題の難易度が高いことが明らかとなった。また、ControlおよびTargetの群間比較においては、Relaxationにおいてのみ群間に有意な差が認められ、TargetはControlよりもさらに出力レベルが小さく(p<0.001)、絶対誤差が大きい結果が得られた(p<0.001)。 以上の結果から、運動不振の生徒はそうでない生徒と比較して、より難易度の高い「一定の出力を保持した状態」から出力を減少する際の正確性が低く、MVCに対する主観的な筋出力レベルの“ズレ”が大きい可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)