2017 Fiscal Year Annual Research Report
デフォルトのご飯の量と食器の大きさによる喫食量・満腹感の変化
Project/Area Number |
17H00713
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
新保 みさ お茶の水女子大学, 生活科学部, 任期付職員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 行動経済学 / デフォルト / 食器 |
Outline of Annual Research Achievements |
食事の量を管理するためには個人の努力以外に環境的な要因も重要である。本研究は行動経済学の知見をもとに、食事のデフォルトの量(はじめに与えられる量)や食器の大きさの組み合わせによる食事量や満足感への効果を検討することを目的に、実験的な調査を実施した。対象者は大学職員21名で、デフォルトの量、食器の大きさが異なる4パターンの食事を提供し、食事の前後に質問紙で満腹感をたずねた。デフォルトの量、食器の大きさにより、喫食量や満腹感に違いがあるかを検討した結果、以下の3つの結果が得られた。 1) デフォルトの量が多いと、喫食量が多く、満腹感が高かった。 2) 食器の大きさが変わっても、喫食量や満腹感に有意な違いはみられなかった。 3) デフォルトの量と食器の大きさの喫食量や満腹感に対する交互作用はみられなかった。 これらの結果より、喫食量や満腹感には、デフォルトの量の影響が大きいことが示された。このような実験的な調査は日本ではあまり行われていないものの、海外では多く行われ、デフォルトの量については同様の結果が示されている。本研究により日本人においてもデフォルトの量が食事量の管理に重要であることが示唆された。また、今回の調査では、有意な結果は得られなかったものの、デフォルトの量が多く、食器の大きさが小さい時に最も満腹感が高く、満腹感に対するデフォルトの量と食器の組み合わせによる効果の傾向はみられた。組み合わせによる効果については、参加者数を増やして今後も検討を続ける必要がある。これらの結果は論文にまとめ、現在、国際誌に投稿中である。本年度は計画の通り、研究倫理審査申請から、調査の実施、データのまとめ、論文執筆を実施することができた。本研究の成果は、食事量を減らす際に、満腹感を減らさない方法の提案に繋がり、生活習慣予防のための食事管理において、負担感の軽減に向けての一助となることが期待できる。
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