2019 Fiscal Year Annual Research Report
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17H00733
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 賢 大阪大学, データビリティフロンティア機構, 特任准教授(常勤) (70571173)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分子通信 / 情報ネットワーク / 構造形成 / がん細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子通信とは、化学信号や化学反応を利用したバイオナノマシンのための通信方式であり、近年、情報通信分野において、新しい通信技術として注目を集めている。本研究では、様々な分子通信方式の設計や性能評価、および、応用設計や概念実証を行い、分子通信を通信の技術として確立することを目標としている。また、国際研究グループを形成して、分子通信方式の国際標準を策定することも目指している。
上記目標に向けて、3年目となる令和1年度には、顕微鏡観察実験において上皮細胞の集団が特徴的な幾何学的構造を形成することに着目し、上皮細胞間の分子通信が構造形成において果たす役割を理解することを目指して研究を進めた。細胞生物実験、数理モデリング、および、シミュレーション実験を行い、上皮細胞の集団が血管様構造を形成する細胞の初期密度を同定した。また、細胞間の分子通信や細胞の集団運動を表現するための運動方程式を考案した。考案した運動方程式が実験結果を忠実に再現できることをシミュレーション実験によって示した。更に、細胞集団が形成する構造のロバスト性を感度分析によって予測した。多くのがん細胞は上皮細胞から発生するため、本研究で得られた知見は、がん細胞による構造形成の理解につながると考えられる。
本研究の成果をまとめた論文は、生物物理学の分野で権威のある学術論文誌に採択された。本研究の成果はまた、新聞記事などを通して、一般に広く報道された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
分子通信の医療応用に向けた研究が大きく前進した。本研究の成果をまとめた論文は、生物物理学の分野で権威のある学術論文誌に採択された。本研究の成果はまた、新聞記事などを通して、一般に広く報道された。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究により、がん細胞集団が細胞間の相互作用(分子通信)を介して網目構造を形成する仕組みの理解が進んだ。本年度は、ヒト脳腫瘍細胞株を用いて、ヒト脳腫瘍細胞の集団が構造を形成する仕組みの理解を目指す。
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Research Products
(12 results)