2019 Fiscal Year Annual Research Report
Prediction method of spatiotemporal distribution of transient occupants and risk reduction technique after a disaster
Project/Area Number |
17H00843
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大佛 俊泰 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (00211136)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖 拓弥 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (40712766)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 都市内滞留者・移動者 / モバイル空間統計 / 混雑度統計(R) / PTデータ / 建物ポイントデータ / 国勢調査データ |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに開発した都市内滞留者・移動者の時空間分布予測手法の完成度を高めると同時に,これを発展させる方法について,以下の視点から研究を実施した。 1.都市内滞留者・移動者の時空間分布推定手法:任意の時刻・地点における滞留者数を把握することのできる「モバイル空間統計」と,GPS信号に基づく人々の空間移動情報を備えた「混雑統計(R)」,さらに,都市内滞留者・移動者に関する情報を備えた「パーソントリップ調査データ(PTデータ)」の三者を融合することで,従来まで観測することが困難であった,任意の時刻・地点における滞留者人口,流出人口,流入人口を分離して抽出する方法を構築し,その推計精度を検証した。 2.都市内滞留者・移動者に関する人口統計データの高度化手法:「モバイル空間統計」と「パーソントリップ調査データ(PTデータ)」を統合する手法を構築し,従来まで量的な把握に留まっていた都市内滞留者・移動者に対して,どのような施設で,どのような目的で滞留しているのかという情報を付与することに成功した。さらに,秘匿されることが多かった,年齢,性別,居住地などの属性情報を,プライバシー保護に配慮しながら補完する方法を開発し,人口統計データの高度化を図った。 3.災害発生後における都市内滞留者・移動者の挙動に関する検討:大地震発生直後における都市内滞留者の帰宅行動に着目した検討を行った。ここでは,大地震発生直後の行動に関する大規模なアンケート調査結果などに基づき,徒歩帰宅行動をモデル化し,これを用いたシミュレーション分析を行うことで,一時滞在施設や災害時帰宅支援ステーションなどの混雑度の時空間分布を予測し,震災時におけるリスク低減技術の開発を見据えた検討を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
災害等のイベント発生時における都市内滞留者・移動者の挙動や,そのことで発生する被害・リスクの様相について検討するためには,滞留者・移動者の量的な把握に留まらず,滞留者・移動者の年齢,性別,居住地などの属性情報,さらに,どのような目的でどのような用途の建物に滞留しているのかなど,詳細な情報が求められる。そこで,現存する複数の人口統計データの長所と短所について整理し,これらを融合させることで,これまで把握することが困難であった都市内滞留者・移動者の詳細な属性や移動特性を把握可能としたことの意義は大きい。今年度までに構築してきた様々な手法と研究成果は国内外における著名な学術雑誌等に掲載され,また,国際会議において口頭発表を行い,最優秀論文賞を受賞するなど,研究成果の公表に関しても,おおむね順調に進展させることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年は,大地震等の大規模災害発生時における都市内滞留者・移動者の時空間分布予測手法の構築に向けて,以下の視点から,研究を推進する予定である。 1.これまでに開発してきた精緻な属性情報を有する都市内滞留者・移動者の時空間分布データを入力として,様々な時刻・曜日における災害発生を想定したシミュレーション分析を行い,時刻・曜日によって大きく異なる混乱の状況の比較分析を試みる。具体的には,大地震発生時における徒歩帰宅行動をシミュレーションモデルにより予測し,帰宅困難者関連施設(一時滞在施設,災害時帰宅支援ステーション,大規模駅舎)の混雑度や帰宅断念者の空間分布について検討する。 2.これまでに開発した技術では,滞留者人口,流出人口,流入人口を1時間ごとに推計することを想定していた。そのため,より細かい時間を単位として議論を行うことは困難である。そこで,開発した技術の応用可能性を高めるために,時間的内挿法を構築することで人口統計時空間データの解像度を向上させる。 3.災害発生時等における外国人旅行者への配慮・対応の必要性が叫ばれているものの,その基礎となる外国人旅行者の動態に関する人口統計データは乏しく,具体策について検討する際の大きな障害となっている。そこで,ジオタグ付Flickrデータに備わる時空間情報を活用して,外国人旅行者の時空間分布を推定する手法についての検討を試みる。
|
Research Products
(13 results)