2017 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性肝障害の発症機序解明および早期診断法の確立と予防法の提案
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17H00881
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 康一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究部門付 (90358333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常山 幸一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10293341)
七里 元督 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (20434780)
谷戸 正樹 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (30284037)
堀江 祐範 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30514591)
中村 強 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (30581912)
室冨 和俊 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ付 (40635281)
太田 雅規 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (70341526)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非アルコール性肝障害 / 発症メカニズム解析 / 酸化ストレス / 動物試験 / 細胞試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
①動物試験 マウスで得られた知見をヒトに応用するため、2017年度はヒトの糖尿病およびNASH病態を模倣するモデルマウスの作製を行った。・通常食TSODマウスと比較して、高脂肪食を与えたTSODマウスの体重は増加し、耐糖能異常が悪化した。・肝重量はF2WTDでは通常食の約2倍、STHD-01では約2.5倍で顕著な肥大が生じ、肉眼的にも脂肪の蓄積が顕著であった。・以上の結果、高脂肪食F2WTDおよびSTHD-01を負荷することによってTSODマウスの肥満・糖尿病病態が悪化することが明らかとなり、NASH病態も増悪している可能性が示唆された。・高脂肪食F2WTDを与えることで血糖値、肝機能検査値は漸近上昇することが認められた。また23週間程度の飼育で重篤なNASH様脂肪肝、肝炎症、線維化が認められた。 ②細胞試験 ・培養肝細胞に対し脂肪酸添加することで樹立する脂肪肝モデルの作製を試行、NASH同様、肝細胞死が誘導されるパルミチン酸添加条件を決定した。・一重項酸素発生剤エンドパーオキシド(EP)を用いて、ヒト肝がん細胞HepG2内外で一重項酸素を発生させる条件を決定。EPを用いて、高濃度の一重項酸素に暴露された際の細胞応答を解析した。ミトコンドリア内一重項酸素を特異的に検出するプローブを用いた結果、1 mM EP添加後、数分でミトコンドリア内の一重項酸素が発生していることが分かった。 ③ヒト試験 臨床試験を実施する香川県立中央病院実験責任者において研究計画書立案、倫理委員会への申請を行い、承認を得た。また、産総研にて条件付き承認を得た。現在、条件付きについて香川県立中央病院で対応中であり、5月中旬には再承認が得られる見通しである。なお香川県立中央病院ではKaToLEA Studyとして進行中であり、肝臓生検は16サンプル保存済み。血液採取は両施設の承認後とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物試験に関しては、延長期間を設けることによって予定通り結果を取得することができた。細胞試験およびヒト試験に関しては当初の期間内に予定を終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
①動物試験 ・高脂肪食F2WTDおよびSTHD-01を与えた各TSODマウスの各臓器、血漿等について、血液検査、病理解析を行い、線維化、NASH病態評価を行う。・高脂肪食F2WTDを与えたC57BL/6マウスでの試験結果をも踏まえ、TSODマウスのNASH病態さらには病態モデルとしての有用性を評価する。 ②細胞試験 ・脂肪肝モデル細胞において、脂質酸化ストレスマーカーを指標とした脂肪酸が及ぼすNASHメカニズムの解明を行う。・ヒト肝がん細胞において、EPに誘導された一重項酸素の細胞全体への影響について、脂質酸化ストレスマーカーによる定量評価を行い、メカニズム解明を進める。 ③人試験 検体(約100サンプル)が集まった時点で、脂質酸化ストレスマーカーをはじめとする血清マーカー、病理検査を行い、評価を行う。
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Research Products
(8 results)