2018 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性肝障害の発症機序解明および早期診断法の確立と予防法の提案
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17H00881
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 康一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究部門付 (90358333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常山 幸一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10293341)
七里 元督 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (20434780)
谷戸 正樹 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (30284037)
堀江 祐範 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30514591)
中村 強 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (30581912)
室冨 和俊 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ付 (40635281)
太田 雅規 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (70341526)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非アルコール性肝障害 / 発症メカニズム解析 / 酸化ストレス / 動物試験 / 細胞試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
①動物試験・TSODの対照群として用いた非肥満型のTSNOマウスに高脂肪食を与えたところ、予期に反してTSODマウスよりも顕著な炎症や線維化が観察され、やせ型NASH様病態が確認できた。従来、肥満はNASH発症や病態悪化の危険因子であると報告されているが、本現象はその仮説を覆す可能性がある。正常マウス(C57BL/6Jマウス)でも高脂肪食投与で、高血糖やNASH様脂肪肝が見られていることから、非肥満型TSNOマウスも含めた結果解析を行いたい。・各種酸化ストレスマーカーの測定を行った。病態の悪化によっていくつかのマーカーが上昇することを見出し、現在、詳細な解析を実施している。・TSODマウスは自発運動をほとんど実施しないことから、有酸素運動下にて強制運動を実施した。運動後、血糖値の低下、体重減少、肝脂肪も含めた体脂肪量の低下が観察された。今後、運動負荷による脂質・糖質代謝の亢進、NASH予防との観点からも運動後のPCG-1αの発現状況、肝における糖質代謝亢進を網羅的解析にて評価したい。・NASH予防に向けた有効成分の探索の結果、肝障害を明確に示すSTAMマウスの血中アミノ酸変動、ならびにBCAAのうち、Val投与は効果なく、Leu及びIle投与は肝障害の抑制効果ことについて論文化した。 ②細胞試験 ・培養肝細胞に対し一重項酸素発生剤エンドパーオキシド(EP)を付与する系を確立し、カロテノイド類による酸化障害抑制効果の定量化を試みた。カロテノイド類を効率良く細胞中に取り込ませる手法として、ミセル化法を確立した。・カロテノイド類による酸化障害抑制効果を分光学的に追跡するとともに、酸化ストレスマーカーの計測も実施した。・EPにより一重項酸素を発生させることで、ストレス誘導性の遺伝子発現が上昇することが明らかとなった。 ③ヒト試験 目標とする疾病患者約100名からの血液採取を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物試験、細胞試験、ヒト試験とも順調に計画を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
①動物試験 現在、追試を実施しており、2種類の高脂肪食でTSODおよびTSNOマウスの糖尿病病態が悪化する点については再現性が得られた。今後、病理解析を綿密に行う。・TSNOマウスで観察されたやせ型NASH様病態は非常にインパクトがあるため、追試を実施して確定を急ぐとともに知財、論文として成果を発信する。 ②細胞試験 ・脂肪肝モデル細胞において、機能性因子評価を継続して行う。 ③人試験 脂質酸化ストレスマーカーをはじめとするバイオマーカー、病理検査を行を行う。肝疾患患者において、肝所見検査、血清マーカーなどのデータを解析し、肝線維化の進展を予測しうるかどうかについて検討する。
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Research Products
(4 results)