2017 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル高原史の「空白期」の解明を目指した異分野融合研究
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17H00938
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
白石 典之 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40262422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 宏節 青山学院女子短期大学, 現代教養学科, 助教 (10609374)
篠田 雅人 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30211957)
覚張 隆史 金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 特任助教 (70749530)
三宅 俊彦 淑徳大学, 人文学部, 教授 (90424324)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | モンゴル高原 / 考古学 / 東洋史 / 鮮卑 / 柔然 / 第1突厥 / 阻卜 / 空白期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はモンゴル高原に興亡した遊牧王朝のうち、鮮卑、柔然など史料には名を留めていても、その実態が不明であった時代を「空白期」と位置づけ、その解明を考古学から実証的に試みるというものである。 研究初年度の平成29年度は、メインの調査として9月にモンゴル国ヘンティ県のゴルバン・ドブ遺跡を、モンゴル科学アカデミー歴史・考古学研究所と共同で実施した。ここからは本研究代表者の先行調査によって、鮮卑・柔然期に相当する1~5世紀の墓と、同じく空白期といえる第1突厥期(6世紀)、阻卜期(10~11世紀)の墓の計5基がみつかっている。本年度はさらに阻卜期にあたる2基の墓を発掘した。墓の構造や遺物の分析を行ったのはもちろんだが、本研究の特色として、出土人骨のゲノム解析、食性分析、年代測定、出自系統を知るためのストロンチウム分析などの理化学的分析を行ったことがあげられる。現在データを鋭意解析中である。 先行調査によって第1突厥期の墓から水鳥の副葬が見つかっている。これはモンゴル高原では初例である。その系統を明らかにすべく、中央アジア(今回はウズベキスタン)に資料を求める調査行を実施した。その結果、出土資料や壁画資料の中に、水鳥副葬の解明に寄与するデータを見出すことができた。詳細は現在分析中である。 一方で、ゴルバン・ドブ遺跡以外にも空白期に相当する良好な遺跡がないかを知るため、モンゴル国内で踏査を行い、アルタイ地域、オノン川地域、オルズ川地域で興味深い遺跡を発見した。今後の調査地として活用する予定である。 また、他科研との共同プロジェクトの成果としてゴビ砂漠において後漢代の匈奴遠征にかかる「燕然碑石」が発見された。これは漢と匈奴との攻防を具体的に伝える重大な発見である。今後の解読やさらなる新資料発見に期待が高まっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
メインの調査地としているゴルバン・ドブ遺跡の調査がうまくいき、良好な新資料が2体も得られたことと、DNA分析などの理化学的分析が予想以上のペースで順調に進んでいることから、このような評価を与えたい。
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Strategy for Future Research Activity |
ゴルバン・ドブ遺跡には未発掘区域がかなりの広さで残っているので、それらの部分を、ペースをあげて全面的に発掘を行い、資料の収集につとめたい。また、中央アジア方面に、資料解釈のヒントとなる遺跡が散見できるので、できるだけ実際に踏査して、それらの集積にもつとめたい。
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Research Products
(2 results)