2018 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル高原史の「空白期」の解明を目指した異分野融合研究
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17H00938
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
白石 典之 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (40262422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 宏節 青山学院女子短期大学, 現代教養学科, 助教 (10609374)
篠田 雅人 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30211957)
覚張 隆史 金沢大学, 新学術創成研究機構, 特任助教 (70749530)
三宅 俊彦 淑徳大学, 人文学部, 教授 (90424324)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | モンゴル高原 / 考古学 / 東洋史 / ゲノム解析 / 気候学 / 第1突厥 / 阻卜 / モンゴル帝国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、モンゴル高原に興亡した歴代遊牧王権のなかで、史料に名を留めていても、その実態が不明であった時代(例えば、鮮卑、柔然、第1突厥、阻卜、モンゴル帝国成立期など)を「空白期」とよび、その時代を学際的、実証的に解明することを目的としている。研究組織は考古学をメインに、文献史学、気候学、生化学にも参画してもらっている。 2018年度は昨年度に引き続き、モンゴル科学アカデミー歴史・考古学研究所と共同で、モンゴル国ヘンティ―県ゴルバンドブ遺跡の発掘をおこなった。ここは3基の円墳からなる墓地遺跡で、それぞれに墳丘に「空白期」に属する様々な時期の墓が営まれているという、モンゴル高原では稀有で、本研究にはまたとない良好なフィールドである。 今年度は2号墳の発掘をおこない、4基の墓を発見した。1号墓はモンゴル帝国成立直前の12世紀、2号墓は10世紀の阻卜期、3号墓は13世紀のモンゴル帝国期、4号墓は6世紀後半から7世紀前半の第1突厥期というように、3号墓を除いて「空白期」の良好な資料を得ることに成功した。それを受けて、文献史料の精査、土壌堆積物の気候学的分析、人骨のゲノム解析などを現在進行させている。 また、関連資料を求めて、中国新疆ウイグル自治区、カザフスタン共和国で当該期の遺跡の踏査をおこなった。新疆地区では北方の草原地帯で、カザフスタンではセミレチエ草原地帯で重点的に踏査を実施した。その結果、比較検討のために有益なデータを得た。資料は現在整理中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゴルバンドブ遺跡で得られた資料は大変良好で、考古学的だけでなくヒトのゲノム解析の分野からも多くの貴重なデータが得られるものと期待できる。その点では「計画以上の進展」といえる。しかしながら、マンパワーの不足で整理・分析が追い付いていないのが現状である。そこで「おおむね順調」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降もゴルバンドブ遺跡の発掘調査を継続しておこなう。資料の蓄積を図ることも重要だが、これまでに得られたデータの公開も積極的におこなっていきたい。とくにヒトゲノム関連のデータには興味深いものが多い。これらの公開を速やかに実施したいと考えている。
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Research Products
(1 results)