2020 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル高原史の「空白期」の解明を目指した異分野融合研究
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17H00938
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
白石 典之 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (40262422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 宏節 神戸女子大学, 文学部, 准教授 (10609374)
篠田 雅人 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30211957)
覚張 隆史 金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 助教 (70749530)
三宅 俊彦 淑徳大学, 人文学部, 教授 (90424324)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | モンゴル高原 / 考古学 / 東洋史 / ゲノム解析 / 古気候学 / 突厥 / 阻卜 / モンゴル帝国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はモンゴル高原に興亡した歴代遊牧王朝の中で、史料にその名を留めても実態が不明であった時代(鮮卑、柔然、第1突厥、阻卜など)を「空白期」と位置づけ、それらの実証的かつ学際的に解明することを目的としている。研究組織は考古学を中核とし、文献史学、気候学、生化学も参画した、異分野協業的な超域的研究を目指したものとなっている。この「空白期」は文献史料が少ないことから、物質資料を中心とし、遺跡出土品の分析や石碑銘文の読解など、フィールドワークが中心となる。 令和2(2020)年度は、新型コロナ感染症の影響で、予定していた現地調査を実施できなかった。そこで本研究のカウンターパートであるモンゴル科学アカデミー考古学研究所と成果の共有をはかるため、論文草稿の英文化作業を積極的におこない、『Gurvan Dov 1 -Report on Japan-Mongolia joint archaeological expedition "New Century Project" 』という、「空白期」の多時代墓地として本科研で発掘を進めたゴルワン・ドウ遺跡の調査概要をまとめた報告書を、英語・日本語対訳で刊行した(部内刊行物)。残額は翌年度に繰越した。 令和3(2021)年度も新型コロナ感染症の影響の影響で現地調査ができなかった。そこで前年度からの繰越金を利用して科研研究員を雇用し、これまでに集積した考古資料の図化と、論文用の版下類の作成をおこなった。残額は翌年度に繰越した。 令和4(2022)年度は、8月に3週間のモンゴル現地調査をおこない、モンゴル帝国初期の遺跡であるアウラガ遺跡の発掘調査を実施した。1棟の住居跡を検出し、「空白期」の阻卜時代からモンゴル帝国に至る文化変遷の解明に資する考古資料の獲得に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の影響で、本科研の中核的調査対象であるゴルワン・ドウ遺跡の調査が中断してしました。この遺跡から得られる予定であった人骨試料が手に入らないため、ゲノム解析や年代測定などの理化学的分析と、それに基づく検討作業に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染症の影響に左右されるが、状況が好転せずに資料が入手できなければ、先行科研で入手した資料(人骨試料)が手元にある、モンゴル帝国期の初期の様相を解明するという転換も可能である。モンゴル帝国初期も史料が少ないいわば「空白期」である。こうした方向性は、本科研の主旨を変えず、しかも、不明な点が多いモンゴル帝国の成立過程の解明に寄与すると考えている。
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Research Products
(2 results)