2017 Fiscal Year Annual Research Report
働く人々の健康を促進する持続的経営:炎症マーカー・遺伝子発現を用いた実証研究
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17H00999
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
阿久津 聡 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (90313436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 智久 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 講師 (40525466)
内田 由紀子 京都大学, こころの未来研究センター, 准教授 (60411831)
中田 光紀 産業医科大学, 産業保健学部, 訪問研究員 (80333384)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 仕事の意義の振り返り / より良い働き方 / 健康 / モチベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、企業で働く人々の職場に対する認知及び行動が、彼らの健康状態にどのような影響を及ぼすのか、さらには健康状態を改善する手段として有効なアプローチがあるのか、という点を主眼に置いた調査を実施した。具体的には、1企業の従業員を対象に「仕事の意義を振り返ることが個人の健康状態を促進する」、という仮説検証を目的とした介入研究を実施した。手続きとしては、被験者を介入条件群と対照群とにランダムに分けたうえで、介入条件群では定期的に仕事の意義について振り返る課題に取り組んでもらった。被験者には、調査開始時、調査途中、調査終了時の計3回、被験者に対して自記式アンケートへの回答と採血を実施した。結果として、介入に一定の効果が見られることが明らかになった。ただし、本研究対象となった企業を取り巻く環境が、調査期間中に大きく変動が生じたため、その影響が本研究結果に影響を及ぼしている可能性は否めない。したがって、今回得られた結果については介入課題以外の要因が混在している可能性が高く、慎重な解釈をすべきだと認識している。また、今回対象とした企業における被験者の数が50名程度のため、統計的な信頼性妥当性を高めるためには、もう少し数が多いことが望ましかった。しかしながら、定期的に仕事の意義を振り返ることで、仕事に対するポジティブな感情あるいは認知を想起させ、それが個人の健康に正の効果を及ぼすことは理論的には妥当であり、今回の結果はそのメカニズムの正しさを一定程度支持するものだと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り調査実施できたため。計画通り実施した結果に対し、一部測定分析にかかる業務委託に一部繰越金を使用した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、被験者数の点で課題があった。そのため、今後の推進方策として、統計的妥当性の観点から、より多くのサンプル数を集めることが望ましい。一方で、個人の認知とバイオマーカーによる健康指標との関係性、さらには時系列での同一サンプルの認知行動の変化および健康状態の推移を見ることは、個人のより良い働き方や、より良い健康という点を考えるうえで、非常に有効なアプローチだと考えられる。これらの点を踏まえると、今後の研究では、より多くのサンプルでの大規模調査、あるいは経年調査を実施することが重要だと認識している。特に経年調査に関しては、ある一時点での、個人の心理的諸要因が、その後の当該個人の健康状態や行動傾向を予測するのか、を検証することは極めて重要である。したがって、今後は上記の点を推進するように研究を進めたいと考えている。
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