2017 Fiscal Year Annual Research Report
津波災害に対するまちづくりを含めた統合的減災システムの設計・評価と社会実装の検討
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17H01293
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
岡安 章夫 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (20213994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 勝也 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (00271883)
有川 太郎 中央大学, 理工学部, 教授 (00344317)
河野 達仁 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (00344713)
多々納 裕一 京都大学, 防災研究所, 教授 (20207038)
田島 芳満 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (20420242)
高木 朗義 岐阜大学, 工学部, 教授 (30322134)
高橋 智幸 関西大学, 社会安全学部, 教授 (40261599)
原田 賢治 静岡大学, 防災総合センター, 准教授 (40378922)
藤見 俊夫 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 准教授 (40423024)
越村 俊一 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (50360847)
山中 亮一 徳島大学, 環境防災研究センター, 講師 (50361879)
羽藤 英二 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60304648)
横松 宗太 京都大学, 防災研究所, 准教授 (60335502)
安田 誠宏 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (60378916)
福谷 陽 関東学院大学, 理工学部, 准教授 (10785322)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 総合的減災計画 / 津波減災 / 海岸工学 / 土木計画学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,防潮堤や高台移転等の津波・高潮対策による直接的リスク軽減に加え,対策に伴う地域経済・社会の長期変化予測を加味した便益評価を行い,統合的な防災・減災施策の評価手法を開発,最終的に社会合意を形成するプロセスを実装した計画策定手法を提案することを目的としている. 平成29年度においては,まず,(1)物理的防護レベルの検討に必要な情報と考え方の整理,および(2)総合的減災計画立案のための方法論の開発のために,まず海岸堤防高の検討に必要な情報の整理を行った.これは背後地のまちづくりや環境等を考慮し堤防高を設定する方法の具体的プロセスを規定するものである. 次に,(3) 津波規模と生起頻度との関係の定量化手法(確率津波ハザードモデル)の開発として,津波の生起頻度の定量化と高潮の確率推定手法の検討・整理とこれによる浸水深推定を行った.具体的には,確率的すべり分布モデルを用いて津波規模と頻度との関係を定量化し,ロジックツリーによる確率論的シナリオモデルと比較した.高潮についても確率的な推定手法を開発した.また.様々なケースについて津波伝播・浸水計算を行い,浸水深の推定を行うと共に,防護施設の粘り強さの評価手法についても検討を行った. 続いて,(4) 減災のためのハード・ソフト施策効果の定量化手法の開発のため,粘り強さの評価法や減災施策の定量化手法について検討を行った.具体的には,費用便益分析を用いた津波ハザードと土地利用計画考慮による最適海岸堤防高の考え方の整理を行い,津波リスク変化に応じた企業立地・人口の変化の把握方法を検討,人的被害や資産被害等の直接被害の効果計測手法の整理,経済影響等の間接被害の効果計測手法の検討,津波防護施設の外部性の検討等を行い,広い範囲での施策効果の定量化について検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に記載した平成29年度実施予定の以下の研究内容のそれぞれについて,具体的な成果が得られている. (1)物理的防護レベルの検討に必要な情報と考え方の整理,(2)総合的減災計画立案のための方法論の開発,(3)津波規模と生起頻度との関係の定量化手法(確率津波ハザードモデル)の開発,(4) 減災のためのハード・ソフト施策効果の定量化手法の開発 各々の項目に関する検討内容と成果については,「研究実績の概要」と研究業績に示した通りである.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度以降は,引き続き平成29年度の検討内容について精査を重ねていくと共に,以下についての検討を開始,研究期間内での研究の完了を目指す. (5) 社会実装のための障害に関する検討:費用対効果や実現可能性の高い案として,土地利用の規制・誘導等の施策を含む総合的な減災施策を検討する.(6) 将来計画を達成するための移行過程とその時間的スパンの設計:具体的な防災・減災システムについて,視覚性と柔軟性に優れた詳細な情報提供の手法を開発するとともに,移行過程とその時間的スパンを設計する.(7) 財政制度(国や地方の負担割合)の設計:安全性をまちづくりや避難で担保する場合の選択肢の検討,計画の策定に係る費用について,財政制度設計の検討を開始する. これらについては学会内での議論も参考に,より広く意見を募り,実行可能な施策に結びつけていくための課題検討・整理を行う.
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Research Products
(54 results)