2018 Fiscal Year Annual Research Report
LPA signaling molecules and basic diagnostic and therapeutic studies on chronic pain
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17H01586
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
植田 弘師 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (00145674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚原 完 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (00529943)
金子 周司 京都大学, 薬学研究科, 教授 (60177516)
崔 翼龍 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, ユニットリーダー (60312229)
酒井 佑宜 横浜薬科大学, 薬学部, 講師 (70588095)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リゾフォスファチジン酸 / 有痛性糖尿病 / 線維筋痛症 / 脳卒中後疼痛 / eRNA-CAGE法 / 質量顕微鏡 / 創薬スクリーニング / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果は以下の成果として集約される。Spared Nerve Injury(SNI)モデルにおけるエピゲノム性創薬研究に成功した。2型糖尿病モデルでは疼痛鈍麻と疼痛過敏が同時に発現し、LPA機構阻害剤による遮断を確認した。脳梗塞・脳出血ハイブリッド型脳卒中後疼痛(CPSP)はLPA1あるいはLPA3遺伝子欠損(KO)マウスや拮抗薬投与により遮断することを明らかとした。慢性化の仕組みの一端として、ミクログリアを介するLPA産生と産生されたLPAにシグナルによるケモカイン産生を介した疼痛維持を明らかにした。線維筋痛症モデルにおける痛みメモリー機構の大半は脳に原因を見ることができ、PET研究においてLPA1あるいはLPA3 と関連したその脳領域の特定に成功しつつあり、eRNA-CAGEを用いた責任遺伝子の解析を開始した。また、海外研究者との共同研究でfMRIを行い、帯状回にも責任領域があることを見いだしている。CPSPモデルではLPA産生を質量顕微鏡で評価しそのメカニズムとInsulaを中心とした責任脳領域の特定に注目している。創薬との関連では、LPA生合成酵素阻害剤のスクリーニングや新規受容体拮抗薬の共同開発などを実施し、企業導出に向けた取り組みも行っている。このほか、末梢免疫系や消化管機構による痛みメモリー維持機構を見いだした。しかもこの機構は慢性疼痛を有する脳からの信号を介することも見いだし、その制御系も明らかにした。創薬との関連は新規のLPA受容体拮抗薬開発と新規LPA生合成酵素の発見と阻害剤開発に成功しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SNIモデル、tPA誘発性CPSPモデル、複数の線維筋痛症モデル、複数の有痛性糖尿病モデルでの新たな実例においてLPAシグナルが慢性疼痛の形成と維持機構に関与することを明らかにし、より普遍的なものとすることができた。脳におけるメカニズムについてもfMRI、PETさらには質量顕微鏡解析から病態ごとに複数の責任脳領域の関与が明らかとなり、その一部についてより信頼性の高い遺伝子解析eRNA-CAGE法解析に着手し、責任分子群の手がかりをつかみつつある。LPAシグナル制御薬について新規化合物を見いだし、企業導出を含めた創薬研究活動にシフトしつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに着手しているfMRI、PET、質量顕微鏡等の様々な画像解析とLPA受容体遺伝子欠損マウスや関連治療薬の組み合わせにより、脳内責任領域を病態ごとに同定し、さらにeRNA-CAGEによる遺伝子解析と従来手法によるノックダウン方式による検証に全力を挙げる。新しい取り組みとして末梢免疫機構の脳痛みメモリー機構の強化システムに関する分子基盤とそれを制御する抗体医薬やDNAワクチン創薬への道筋を模索する。
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Research Products
(30 results)