2018 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstruction of a history of monotheism based upon a disconvered synagogue in the Galilee in Israel
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17H01640
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市川 裕 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (20223084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 研 立教大学, 名誉教授, 名誉教授 (00187238)
桑原 久男 天理大学, 文学部, 教授 (00234633)
細田 あや子 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (00323949)
上村 静 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (00447319)
高井 啓介 関東学院大学, 国際文化学部, 准教授 (00573453)
月本 昭男 上智大学, 神学部, 教授 (10147928)
土居 由美 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 研究員 (50751038)
勝又 悦子 同志社大学, 神学部, 教授 (60399045)
長谷川 修一 立教大学, 文学部, 教授 (70624609)
葛西 康徳 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (80114437)
江添 誠 神奈川大学, 外国語学部, 非常勤講師 (80610287)
牧野 久実 鎌倉女子大学, 教育学部, 教授 (90212208)
高久 恭子 (中西恭子) 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 研究員 (90626590)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 古代ユダヤ教 / ヘレニズム / ローマ都市 / シナゴーグ / エルサレム神殿 / 儀礼的穢れ / 新約聖書 / タルムード |
Outline of Annual Research Achievements |
発掘調査でテル・レヘシュ遺跡のシナゴーグの全貌が明らかになり、その結果を踏まえて、シナゴーグと周囲の遺構、遺物との関係やシナゴーグの果たした役割に関して、同時代のパレスチナの他の遺跡との比較検討した成果は、①テル・レヘシュ遺跡の最上層部は古代ローマ時代の西暦1世紀半ばから2世紀後半まで存続したこと、②発見された集会所は、ヘブライ語で集会所を意味するベイト・クネセト(シナゴーグ)に構造上も適合すること、③同時代の既発見のシナゴーグとも構造上類似すること、④3世紀以降ガリラヤで出土するシナゴーグと形状に違いがあること、⑤エルサレム神殿が健在の時代であり、集会所としての役割が主だったと考えられることであった。2018年度の繰越分で行った発掘調査では、ローマ時代の居住域の輪郭を調べたが、今回の発掘場所からはローマ時代層の発見はなかった。 シナゴーグの役割の変遷とユダヤ社会の変容との相関関係については、分担者各自に課せられた課題を引き続き遂行したが、ガリラヤのユダヤ化とともにユダヤの宗教的規範が日常生活へ浸透する状況が、発掘遺物から推論することができた。具体的に、①石製品、調理具の蓋、質素なランプなどから、穢れに対して極度に敏感な住民の意識を読み取れること、②周辺のガリラヤの同時代の都市には、ギリシア・ローマ的都市文化の影響が深く及んでいる中で、住民がユダヤ人であることで独自のアイデンティティ形成がなされ、それが宗教的信念と結びついている点が、キリスト教徒の出現と展開とも連動することが想定できることである。 最大の課題である規範化とシナゴーグの建設との因果関係と相関関係については、日常生活における集会の場としてのシナゴーグ機能を実証すべく、教育と食事に特化したテーマを設定して議論を深め、「シナゴーグと教育」を主題にしたシンポジウムで成果を公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
繰り越しを認められて令和元年に発掘調査を実施して、シナゴーグ周辺の居住域の広がりを考察することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの発掘調査は限られた面積のごく一部を調査したに過ぎず、当該シナゴーグを含むローマ時代の居住域については、その10%程度が判明したに過ぎないが、他のすでに発見された同時代のシナゴーグとその居住域との比較考察が、シナゴーグの役割を考察するうえで非常に効果的であることがわかったことは、大きな収穫であり、実際の発掘調査と組み合わせた総合的研究によって、さらなる解明が期待できる。
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Research Products
(18 results)