2017 Fiscal Year Annual Research Report
Industrial Development in South Asia and Global Production Networks of the Japanese MNCs
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17H01652
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 隆広 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (60320272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石上 悦朗 福岡大学, 商学部, 教授 (00151358)
西山 博幸 兵庫県立大学, 経済学部, 准教授 (00309345)
絵所 秀紀 法政大学, 経済学部, 教授 (10061243)
加藤 篤行 金沢大学, 経済学経営学系, 准教授 (10470064)
西尾 圭一郎 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (20453368)
長田 華子 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (20632285)
上池 あつ子 神戸大学, 経済経営研究所, 学術研究員 (40570578)
宇根 義己 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (40585056)
鎌田 伊佐生 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (40749503)
内川 秀二 専修大学, 経済学部, 教授 (50257549)
安保 哲夫 神戸大学, 経済経営研究所, リサーチフェロー (90013028)
上野 正樹 南山大学, 経営学部, 准教授 (90379462)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 南アジア / 産業発展 / 日系企業 / 国際価値連鎖 / 新新貿易理論 / 新しい政治経済学 / ハイブリットモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
代表のわたしは、日本的生産経営システムの海外移転を評価するハイブリットモデルにもとづく現地調査をインド西部地域で実施することができた。調査を行った8社についての会社記録を作成し、インドにおけるハイブリット調査のデータベースを拡充することができた。また、分担研究者と連携研究者は、バングラデシュ・インドのコルカタの繊維産業調査、インド・アーメダバードとスーラットの繊維産業・共同組合調査、インド・デリー首都圏の繊維産業・自動車産業調査などを行うことができた。研究開始年に相応しいパイロット的な調査を複数実施できたことを特記しておきたい。 研究業績としては、代表のわたしは、『商工中金』にインド進出日系中小企業の実態(2013-14年調査)を分析した論文と『経済志林』に経済産業省個票データを利用して1995~2014年度までのインド進出日系企業の動向を分析した論文を公表できた。これら2つの論文によって、インド進出日系企業の歴史的推移とその特徴を明らかにし、本共同研究の土台を構築することができた。また、分担研究者や連携研究者は、国際価値連鎖(GVC)分野においてインドのタイヤ産業や製薬産業に関して複数の論文を執筆し、新新貿易理論に関する理論的・実証的研究も複数本公表している(そのうちの1本はQuarterly Review of Economics and Financeに掲載された)。また、新しい政治経済学(NPE)分野ではインドの地主の政治力に関する実証的な研究が公表された。このほか、経営学分野では『国際ビジネス研究』にインドを事例とした新興国戦略に関する論文が掲載されたこと、地域研究分野ではインドのEconomic and Political Weeklyに縫製産業におけるコミュニティの機能を分析した論文が掲載されたことを特筆したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画ではスリランカでのハイブリット調査を実施することを目的としていたが、諸般の事情でそれを実施できなかった。しかしながら、そのかわり、インド西部地域に立地している8企業でハイブリット調査を実施することができた。また、バングラデシュやインドの各地で繊維産業・自動車産業・共同組合調査などを実現することができた。こうした一連の海外調査によって、次年度以降の現地調査に向けての課題が整理できた。 研究業績としては、インド進出日系企業の動向に関する論文が2本掲載された(『商工中金』と『経済志林』に掲載された佐藤論文)。また、共同研究者たちは、国際価値連鎖(GVC)分野、新新貿易理論の分野、新しい政治経済学(NPE)分野において、複数の論文を執筆することができた(海外査読雑誌として、そのうちの1本がQuarterly Review of Economics and Financeに掲載された)。さらに、内外の査読誌には、インドを事例とした新興国戦略に関する研究とインド縫製産業におけるコミュニティの機能を分析した研究の2本の論文が掲載された(前者は『国際ビジネス研究』、後者はEconomic and Political Weeklyに掲載された)。 また、複数回にわたる研究会やセミナーの開催を通じて、共同研究メンバー間の問題関心や研究教育に関する共通認識を醸成し、地理情報システム(GIS)などの分析手法などの共同学習なども行った。さらに、インド産業やインド企業の概要を的確に説明する概説書の準備を、共同研究者たちと開始し、執筆内容と執筆方針についての合意がなされた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、南アジア諸国におけるハイブリット調査を実行したい。とくに、インド以外のパキスタン、バングラデシュとスリランカにおける調査を優先する。こうしたインド周辺の南アジア諸国における日系企業に調査対象を広げることによって、近年、南アジアで急速に展開している日本多国籍企業の生産ネットワークの実態が浮き彫りになるであろう。 また、南アジア各国やインド諸地域における個別産業の現地調査にも、注力をしたい。そのなかでも、現地企業の経営者の属性とそのバックグランドのみならず、そこで働いている従業員や労働者のそれらにもこれまで以上に目を向けていきたい。 新新貿易理論において企業異質性の源泉として重視されている企業の生産性を、インド工業統計やインド上場企業の個票データを利用して精度の高い推定を行う。そのため、新たに、インド上場企業に関する財務データの購入を予定している。また、さまざまな政治経済学上の制約が、インド企業の生産性にどのような影響を与えるのかを、新しい政治経済学(NPE)に準拠して理論的・実証的な分析を行いたい。 本年度では、春に2回、夏と冬にそれぞれ1回づつ本研究テーマに関する研究会・国際会議を行う。そのうち最低2回は英語での会議として、インド国内外の研究者たちとの学術的な交流を増やし、本研究を国際的な水準にまで高めるための努力をしたいと考えている。また、機会があれば、インド国内外の研究者たちとの共同研究にまで発展させたい。 さらに、本年度末までには、インド産業やインド企業の概要を的確に説明する概説書を脱稿し、翌年度以降の商業出版に向けた準備をしたい。
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Research Products
(64 results)