2019 Fiscal Year Annual Research Report
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17H01698
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小野 廣隆 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (00346826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳浦 睦憲 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (10263120)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 組合せ最適化 / グラフ最適化 / 近傍構造 / パラメータ化計算量 パラメータ化アルゴリズム / 近似アルゴリズム / 均衡計算 / 無秩序の代償 / 安定性の代償 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝的アルゴリズム,タブー探索,アニーリングといった計算困難な組合せ最適化問題に対するメタ解法(メタ戦略)は,設計が比較的簡単であり,また実用的には十分な近似精度が得られることが知られている反面,理論的な精度の保障に成功している例は限られている.このためメタ解法の高速化や高精度化に関する研究には職人芸的なものが多いのが現状である.本研究はこれらメタ解法に共通する基本操作である局所探索・局所変形に対し新たにパラメータ化計算の視点を導入し,アルゴリズム設計論・性能分析論を構築する.メタ戦略の高速化・高精度化の非自明性の一つは,局所探索・局所変形の「性能」は近傍系の大きさに依存し,近傍の大きさと探索のための計算量はトレードオフの関係にある.このトレードオフ関係をパラメータ化計算の観点から分析し,局所探索型アルゴリズムのための新たなアルゴリズム設計論・計算論を展開する.
H30年度以前は例えばグラフ分割問題(ヘドニックゲームを含む),グラフラベリング問題等に対する局所探索に関する計算量に関して考察したが,H31年度並びにその延長期間では,特グラフ分割(ヘドニックゲーム)の計算量(ある典型モデルは,次数がある定数以下であったとしてもPLS完全である)などの結果を得るとともに,エージェントが費用を折半するタイプのネットワーク構築ゲームの無秩序の代償(PoA),安定性の代償(PoA)の見積もり,またラベリング問題に対する固定パラメータアルゴリズム設計などに取り組んだ.前者ではこれまでの結果を包括する結果を得た.後者では従来知られていたパラメータよりも適用範囲の広いアルゴリズムの設計に成功するなどの結果を得た.最終年度ではこれらをの問題に対する近傍複雑度の研究に次年度以降重点を置くことを考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定とは異なるが,研究成果の観点から言えば2019年度内に多くの成果が上がった.研究成果は計算機科学分野で認知されているシュプリンガー社のLecture Notes in Computer Science から,5編が出版(採択率が1/3程度),また査読有ジャーナル論文4編の論文を出版するなど関連する分野の研究者の興味を集める研究成果を得ていると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に向けて,総括並びに新たな研究の方向性,発展を考えながら研究を進める.
本研究は局所最適解発見の計算量・見積もりを主目標として行った研究であるが,これらを通して得られた技法が均衡計算にも活用できる見込みができたことが成果の一つと言える.次年度はその視点からの発展についても十分な考察を行う.
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Research Products
(29 results)