2017 Fiscal Year Annual Research Report
生産性と性能を両立する共有メモリ型大規模並列計算基盤
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17H01711
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
津邑 公暁 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00335233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五島 正裕 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 特任教授 (90283639)
塩谷 亮太 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10619191)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ハードウェアトランザクショナルメモリ / 並列処理 / スケジューリング |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模並列計算基盤の実現に向け,まずはプロセッサ内の効率的並行性制御を目指し,ハードウェアトランザクショナルメモリのスケジューリング効率化について検討した。 ハードウェアトランザクショナルメモリでは,同一共有変数へのアクセス競合が頻発することによる性能低下が問題となる.この問題に対し,これまでトランザクションのスケジューリングを改良することにより競合の発生を抑制する研究が多く行われてきたが,そのいずれの手法を用いても,十分な性能向上が得られていないプログラムが存在する. そこでまず,そのようなプログラムが持つメモリアクセスパターンを調査し,性能向上が妨げられている原因を調査した.その結果,複数の実行フェーズを持ち,あるフェーズでアクセスしたアドレスに対しそれ以降のフェーズで再度アクセスしないという特徴を持つトランザクションを持つプログラムでは,本来一貫性を損なうとは限らないにも関わらず競合として検出されてしまうメモリアクセスにより,性能向上が妨げられていることが分かった. そこで,従来手法では競合として検出されるメモリアクセスであっても,それぞれのスレッドで実行しているトランザクションの実行フェーズにおけるアクセス先アドレスが異なる場合には,このメモリアクセスを投機的に許可することで,性能を向上させる手法を提案した. 提案手法の有効性を確認するために,GEMS microbenchのプログラムのうち,アクセス先アドレスが異なる2つの実行フェーズを持つContentionとDequeを用いて評価を行った結果,既存のLogTM-SEと比較してContentionは平均63.2%,Dequeは平均6.3%の性能向上を達成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大規模並列計算基盤のコア内並行性制御を担うハードウェア層における,ハードウェアトランザクショナルメモリの改良はほぼ予定どおりに進行しており,一定の成果をあげている。 一方でコア間を担うソフトウェアトランザクショナルメモリについては,当初予定していた オーバヘッド分析については順調に進行しており,いくつかの改善手法を近く発表予定であるものの,多ノード環境に対応させるためのシミュレータ改良の進行がやや遅れている。並列計算基盤全体の評価にとって,このシミュレータ改良は不可欠であるため,今後この点に注力して進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初,平成30年度に予定していた,スケジューリング手法の検討については,ハードウェアトランザクショナルメモリに関係する部分はすでに平成29年度に一定の成果が出ており,これを引き続き推進していくとともに,ソフトウェアトランザクショナルメモリに対しても効率的なスケジューリング手法を検討していく。またこれと並行して,現在まで少し進行が遅れている,シミュレータの多ノード対応に注力していく。
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Research Products
(12 results)