2017 Fiscal Year Annual Research Report
Subjective perception without reports
Project/Area Number |
17H01807
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
南 哲人 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, 准教授 (70415842)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 実験系心理学 / 認知科学 / 脳波 / 瞳孔 / 主観的知覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工知能の応用が進む中で、ヒトの意識研究が早急に求められてきている。ヒトの意識研究は、ヒトからの報告に頼ってきたが、このような報告行動自体が、意識に関する脳活動に影響を及ぼすため、 被験者の報告を伴わないような意識の指標が求められている。そこで、本研究では、瞳孔径を中心とした自律神経系計測、脳波を中心とした脳活動計測を行い、これにより主観的知覚における脳活動、瞳孔、行動指標の 3 者の関係を明らかにし、認知神経科学的研究に新たなアプローチを追加することを目的として研究を行う。
本年度は、知覚交替を引き起こす要因となる情報を抽出することを目的とし、研究を行った。 Parkkonen ら(2008)は、知覚交替前後において、脳波成分である定常状態視覚誘発電位(SSVEP)の振幅に有意な差が見られることを示した。この結果より、知覚交替に注意が関係していることを示唆した。また、 Einhauserら(2008)は、知覚交替時に瞳孔が散瞳することから瞳孔と知覚交替が関係することを示した。しかし、瞳孔の散瞳前に SSVEP で示されたような注意状態の切り替わりが生じるかどうかについては示されていない。そこで、SSVEPによる注意状態の推定と瞳孔径の関係を明らかにするため、本研究では、輝度が異なる、明滅するドット群で構成される回転球体刺激を用いて左右回転方向の知覚交替時におけるSSVEP と瞳孔径の同時 計測を行った。その結果、左右回転知覚時のSSVEP 振幅に有意な差が見られ、瞳孔においても注意対象の切り替わりとみられる瞳孔径変化が知覚交替前に見られた。その後、知覚交替に起因すると考えられる瞳孔径の散瞳が生じていた。これらより、注意の変更がトリガとなり知覚交替が生じている可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、SSVEPと瞳孔径による知覚闘争の実験を行い、行動報告によらない知覚交替のタイミングの推定の可能性を示した。よって、順調に研究が進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、知覚闘争現象におけるバイアスの効果を調べるとともに、行動報告によらない「ひらめき」状態の推定の実験を行う予定である。
|
Research Products
(13 results)