2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis and scientific verification of of infomation about natural cleaning
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17H01953
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
大矢 勝 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (70169077)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | クエン酸 / 酸洗浄 / アルカリ洗浄 / ビール / 天然界面活性物質 / 確率密度関数法 / 消費者情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、クエン酸によるカルシウム系汚れの洗浄に関する消費者情報の実験的検証とビールを活用するナチュラルクリーニングに関する消費者情報の分析と実験的検証に関する研究成果を論文として発表するとともに、鉄さび汚れに対する酸型洗浄剤による洗浄性、米のとぎ汁やゆで汁等の洗浄性、および確率密度関数法による洗浄力解析に関する実験研究を行い、学会年会等で発表した。 クエン酸に関する論文では、クエン酸とカルシウム塩がどのように反応するのかを検証し、まずはカルシウム塩が溶解した後、炭酸塩として再び沈殿しはじめ、その後12時間程度経過するとクエン酸イオンと炭酸イオンが交換する形で反応が進むことを明らかにした。また一般の消費者情報の中では再沈澱に関する記述が少ないことが分かった。ビールによる洗浄に関する論文では、実験研究でアルコールとタンパク質の相互作用で洗浄力が得られることが分かったが、消費者情報ではビタミンを原因とするものが多く問題点が明らかになった。 実験研究では洗浄実験用の均一な酸化鉄汚染試料の調製法の確立したほか、米のとぎ汁に含まれる界面活性がサポニンによることを明らかにした。また、確率密度関数法によりタンパク質の洗浄挙動を明らかにする手法を確立することができた。また、消費者情報学的な視点から、酸・塩基による洗浄において、一般の消費者レベルで流通している誤情報を訂正するための、新たな説明ロジックの原案を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クエン酸などの有機酸による水垢汚れや鉄さび汚れの除去、および天然界面活性物質による油汚れの除去に着目して、その洗浄メカニズムを明らかにするとともに、関連する消費者情報の検証を行った。その結果、クエン酸とカルシウム塩がどのように反応するのかについて、まずはカルシウム塩が溶解した後、炭酸塩として再び沈殿しはじめ、その後12時間程度経過するとクエン酸イオンと炭酸イオンが交換する形で反応が進むことを実験的に明らかにするとともに、論文としてまとめて発表した。アルコール飲料(特にビール)による洗浄に関する研究を行い、アルコールとタンパク質の相互作用で洗浄力が得られることを実験的に明らかにするとともに論文としてまとめて発表した。また消費者情報学的観点からビール洗浄におけるビタミン説の問題や、クエン酸による洗浄時のカルシウムとの反応に関する注意喚起が少ない問題などを明らかにできた。 その他、洗浄メカニズム解析に有用な解析手法として確率密度関数法に着目し、その手法の確立を目指して研究を進めてきたが、論文にまとめる段階まで辿り着いた。
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Strategy for Future Research Activity |
各種ナチュラルクリーニングの中で以下の4つの視点からの研究をまとめて論文発表を目指す。 (1) 米のとぎ汁・麺類や野菜等のゆで汁による油汚れの洗浄:米のとぎ汁・麺類や野菜等のゆで汁の洗浄力に関する研究を完成し、論文としてまとめる。現時点ではサポニンが深く関与する可能性が見い出されている。 (2) 鉄さび汚れの洗浄試験に関する研究:各種有機酸による酸化鉄(Ⅲ)の洗浄性に関する論文としてまとめる。特に、シュウ酸やリン酸等の問題点を有する物質の代替品になり得る有機酸を探索する。 (3) 酸・塩基による洗浄に関する消費者情報学的な研究:「酸性汚れをアルカリで中和して除去」「アルカリ性汚れを酸で中和して除去」という説が洗浄分野で広く扱われているが、化学的にみれば誤情報と判断できる。しかし、その誤情報を修正するロジックが確立されていなかった。その部分を論文としてまとめることにチャレンジする。 (4) 確率密度関数法による洗浄力解析法を適用した応用的研究:確率密度関数法による洗浄解析は非常にナチュラルクリーニングの洗浄機構を明らかにするうえで非常に有効である。その基礎固めとしてタンパク質汚れや他の汚れの洗浄挙動を確率密度関数法により明らかにする研究を論文としてまとめる。
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Research Products
(16 results)