2019 Fiscal Year Annual Research Report
Technology introduction and social change in modern Manchuria
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17H02010
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
上田 貴子 近畿大学, 文芸学部, 教授 (00411653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小都 晶子 摂南大学, 外国語学部, 講師 (00533671)
猪股 祐介 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (20513245)
佐藤 量 立命館大学, 先端総合学術研究科, 非常勤講師 (20587753)
蘭 信三 大和大学, 社会学部, 教授 (30159503)
坂部 晶子 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (60433372)
永井 リサ 帝京大学, 経済学部, 講師 (60615219)
西澤 泰彦 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (80242915)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中国東北 / 医療 / 畜産業 / 林業 / 技術導入 / 人口管理 / 在地社会 / 植民者 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究チーム全体としては、2019年度前半は招待した内外の研究者の知見を発表いただき学ぶ機会とした。第1回研究会を「都市」をテーマとし、6月1日名古屋大学東山キャンパスで開催した。穐山新のよる『奉天の近代』の書評、董鈺テイ(Harvard University)「19世紀20年代における中国東北地方のインフラ整備をめぐる日中の競り合い――土地関係を中心に」と題して報告いただいた。第2回研究会は8月4日に近畿大学で実施し、孟壮二(東北師範大学博士課程/大阪大学特別研究生)「近代中国東北における日本人商業会議所の活動」、佐藤良聖(青山学院大学修士課程)「近代東アジア海域における「領海」の成立」という報告をいただき議論を深めた。第3回研究会は12月21日近畿大学で実施した。関日昇(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科院生)による「周縁地域における農村社会の政治変動(1910-1958)―旧満州北部の農村を事例として」と題した研究報告をうけた。その後、話題提供として佐藤量「戦後日本のなかの満洲記憶――引揚者が書き残した会報に注目して」坂部晶子「少数民族地域における記憶の地層から――ホロンボイルを例として」と題して話題提供をいただきラウンドテーブル型の意見交換を行い、経過報告として行うシンポジウムの構想を練った。 他方、研究協力者のキンウィは本研究チームでの調査による研究も含めた博士論文『帝国日本と「満洲」綿羊事業』を大阪市立大学大学院に2019年6月に提出し学位を得た。また上田貴子は2019年8月20日中国瀋陽科隆酒店で開催されたシンポジウム『張氏父子与近代東北鉄路建設曁馮徳麟生平事績研究学術研討会』(主催:張氏帥府博物館、遼寧張学良曁東北軍史研究会)にて「試論張氏政権下的城市開発与京奉鉄路的作用」と題して在地社会の特徴について研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は研究成果の見通しがたち、これを世に問う準備として中間総括を行う年と位置付け、定期的な研究会とともに、冬にはシンポジウムを予定していたが、台風および新型コロナウィルスの世界的な感染流行によって、予定に遅れがでた。 第3回研究会は当初10月13日を予定していたが、台風の直撃をうけて実施できず、延期して12月21日(土)近畿大学で実施した。これらを踏まえた研究の到達段階を国際シンポジウムで世に問う予定をしていたが、これが3月にずれ込むことになった。しかしさらにコロナウィルスの世界的な感染拡大のため中国からの研究協力者の来日が困難となり延期となった。その後、研究の途中経過の取りまとめをどのように行うか議論し、最終的にはメンバーが海外渡航するあるいは研究協力者の海外渡航を求める形での対面でのシンポジウム等による会議を行うことは現実的ではないと判断し、オンライン形式の国際学会においてパネルディスカッションを組織することで、これに替えることとし、2021年度は韓国高麗大学が幹事をつとめる東アジア日本研究者協議会の第5回国際学術会議にて「「近代満洲」における医療・衛生管理技術の導入と社会変容~在地社会と植民地経営の相互作用に着目して」と題したパネル発表を行った。 また、同時に各自が国内外で調査を行う予定であったが移動の制限のため遅れがちとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
史料調査・現地調査については基本的には3年目である2019年度に一定のめどをつけ、各自の実証研究をまとめる作業に入り、途中経過を踏まえて2020年度は不足する資料やデータを補うための調査を行う予定であった。しかし、途中経過発表である国際シンポジウムの開催できず、2021年11月の国際学会でのパネルに変更となった。パネル実施準備過程で、各自の研究の不足部分が明らかになり補足調査を制限されたなかで部分的におこなうこととなった。 このような、制限されたなかではあるが、我々は一定の知見に到達できた。すなわち、これまでの「満洲」を対象とした研究は、日本の植民地としての満洲研究、近代中国における東北地域の政治的な重要性を明らかにする地域史研究が主流であった。これに対して、地を這うようなリアリティを掬い上げることで、われわれは植民者との出会いによって変化する在地社会、在地社会との出会いによって変化する植民者の存在を、研究成果を論文集として世に問う準備ができた。具体的には人の移動・医療・獣疫の管理・少数民族地域の対応・これに対する植民者側の反応をとりあげる。この両者の相互作用が発生する局面から現代にいたる東アジア地域理解の再考が可能であると考える。
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Remarks |
Facebookグループページ「近代満洲における技術導入と社会変容」
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Research Products
(13 results)