2017 Fiscal Year Annual Research Report
Beneficial association of spirituality/religiosity on psychological and physical health via allostatic adaptation.
Project/Area Number |
17H02171
|
Research Institution | Foundation for Advancement of International Science |
Principal Investigator |
村上 和雄 公益財団法人国際科学振興財団, バイオ研究所, 主席研究員 (70110517)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 美代 公益財団法人国際科学振興財団, バイオ研究所, 専任研究員 (90399329)
坂本 成子 公益財団法人国際科学振興財団, バイオ研究所, 専任研究員 (60419869)
大西 淳之 東京家政大学, 家政学部, 教授 (40261276)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | アロスタシス / 宗教性 / 分子マーカー / 遺伝子発現 / メタボローム |
Outline of Annual Research Achievements |
僧侶の特性を継続的な宗教的実践によるアロスタティックな心身変容(動的適応)と捉え、末梢血単球での抗ウイルス遺伝子の解析やマーカー分子の網羅的探索を中心に一般人との比較検証を行った。まず、僧侶の護摩行による白血球細胞の遺伝子発現と血中代謝物の経時的変化を捉えるために、下記の実験を実施した。 [方法] 被験者:10人の仏教僧侶と10人の年齢性別をマッチングさせた対照者 指標:末梢血白血球細胞のマイクロアレイ解析、血中のメタボローム解析、共感性プロセス尺度、生活習慣プロファイルII(HPLP-II)、食事調査(BDHQ)を実施した。 [結果]マイクロアレイ解析では、僧侶が護摩行を行うことで発現変動する遺伝子として護摩行前後では223遺伝子が抽出され、免疫反応の感度調節・維持に関わる遺伝子が含まれていた。見出された候補遺伝子をリアルタイムPCRにて解析中である。一方、CE-TOFMS(イオン性代謝物質)LC-TOFMS(脂溶性代謝物質)によるメタボロ-ム解析では、258個の代謝物質に相当するピークを検出した。一方、僧侶と対照の間で、健康的な生活習慣行動と日常の栄養摂取量に有意差はみられなかった。心理的側面に関しては、僧侶は対照と比較して有意に高い共感を示した。さらに、共感性と相関して変動する特定の転写産物および代謝産物を同定できた。 また、上記で見出した、僧侶に特有の血中代謝産物がヒト免疫系細胞における転写を調節するかを検証する実験を始めた。ヒト免疫系細胞株を用いて、僧侶に特有な遺伝子群の発現について検証中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
護摩行の前後で経時的に変化する遺伝子と代謝産物の網羅的探索を行った。遺伝子発現の網羅的解析においては変動割合が大きい場合でも、その発現量のベースが少ない場合は変動遺伝子群を同定するために時間を要しているが、おおむね計画通りに進んでいる。また、ヒト単球性細胞株を用いた僧侶代謝物の存在下における細胞実験は、培養を始めており、実験系の確立に向けて検討を行っており、おおむね計画通りに進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、瞑想を毎日実践している熟練者を対象に、瞑想が心身に及ぼす効果の検証を行う(1)。また、昨年度からの継続研究として、ヒト免疫系細胞を用いた僧侶型代謝物(昨年度研究成果)の作用の検証を行う(2)。 1.熟練者による瞑想の効果の検証:ストレッチ及び呼吸調整法を含む瞑想(阿息観瞑想、ヨガ瞑想など)により特異的に変化する遺伝子と代謝産物の網羅的探索を行う。 実験方法:①瞑想熟練者(僧侶、ヨガインストラクターなど)と、未経験一般人の安静時の状態を比較解析する。②瞑想熟練者と、未経験者の瞑想実施前後の経時的変化を比較する。 被験者:各群10名程度(年齢はマッチング);瞑想熟練者と対照者(瞑想未経験者)指標:末梢血白血球細胞のマイクロアレイ解析、血中のメタボローム解析、共感性プロセス尺度、健康生成論を基にしたストレス対処力の定量(Sense of Coherence)、生活習慣プロファイルII(HPLP-II)、食事調査(BDHQ) 2.昨年からの継続実験として、ヒト免疫系細胞を用いた僧侶型代謝物(先行研究成果)の作用について検証する。 実験方法:ヒト単球性白血病細胞株、僧侶に特有な代謝物存在下で培養したときに、抗ウイルス遺伝子群の発現誘導とともに、抗炎症性サイトカインの産生能が増強するのか確認する。
|
Research Products
(12 results)