2018 Fiscal Year Annual Research Report
Beneficial association of spirituality/religiosity on psychological and physical health via allostatic adaptation.
Project/Area Number |
17H02171
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Research Institution | Foundation for Advancement of International Science |
Principal Investigator |
村上 和雄 公益財団法人国際科学振興財団, その他部局等, 主席研究員 (70110517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 美代 公益財団法人国際科学振興財団, その他部局等, 専任研究員 (90399329)
坂本 成子 公益財団法人国際科学振興財団, その他部局等, 専任研究員 (60419869)
大西 淳之 東京家政大学, 家政学部, 教授 (40261276)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アロスタシス / ヨーガ / 瞑想 / マイクロアレイ解析 / 共感性 / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,継続的なヨーガ瞑想実践が及ぼすアロスタティックな心身変容(動的適応)を分子レベルで明らかにすることを目的として下記の実験を実施した。[実験方法と結果] ヨーガ歴50年の指導者の誘導で,被験者(ヨーガ熟練者15名とヨーガ未経験者16名)は瞑想を含む60分間のヨーガを実践した。ヨーガ瞑想実践の前後における心理指標の調査と,血中代謝物変動と末梢血単核球細胞における遺伝子発現変動の網羅的解析を実施した。 ① アンケート調査票:1)プロフィール票;ヨーガ経験歴,瞑想経験歴,健康状態,既往歴等質問紙,2)コヒーレンス感覚(SOC)尺度,3)共感性プロセス尺度,4)日本語気分指標POMS2短縮版,5)簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQL),6)日本語版健康増進ライフスタイルプロフィール(HPLP-II),7)ヨーガ瞑想実践の感想 ヨーガ経験者とヨーガ未経験者で有意な違いが見出された心理的項目は,HPLP「精神成長」「ストレス管理」、共感性プロセス尺度「視点取得」等である。 ② 網羅的遺伝子発現解析:マイクロアレイ解析により,末梢血単核球における遺伝子(mRNA)発現の網羅的解析を行った。予備解析としてヨーガ歴30年以上の熟練者2名(50歳代)と同年齢代でヨーガ未経験者2名の比較を実施した。その結果,ヨーガ熟練者に特有な安静時遺伝子発現プロフィールがあることが明らかとなった。ここで見出された遺伝子群の中には免疫細胞の貪食機能に関係する遺伝子群が含まれていた。両群が60分のヨーガ瞑想を実施した前後において変動する遺伝子群の発現プロフィールも違いがあることが見出された。これらの予備解析から,日常的なヨーガ瞑想の継続実践が単核球細胞における遺伝子発現プロフィールに作用する可能性が示唆された。 ③メタボローム解析:血中代謝産物の網羅的解析は,メタボローム解析法を行い,比較解析を実施中。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者らは、ヨーガ歴50年の指導者と共に「調身・調息・調心」の要素を考慮したヨーガ瞑想のプログラムの開発を作成することで、本研究目的に沿った実験が実施できた。また、心理指標において継続的なヨーガ瞑想の実践が影響することが明らかとなったことから,本研究の仮説を一部支持していると考えた。マイクロアレイ解析とメタボローム解析において先ずは30年以上継続的にヨーガを実践している熟練者2名と同年代のヨーガ未経験者2名のサンプルで予備解析を行った。その結果,ヨーガ熟練者に特有な遺伝子発現の変動と血中代謝物の変動が見出された。この結果から,継続的なヨーガ瞑想の実践が心身のアロスタティックな変容をもたらすことが予想された。そこで現在,ヨーガ熟練者15名とヨーガ未経験者16名の全てのサンプルを用いた網羅的解析を実施分析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在実施中の網羅的解析結果をもとにヨーガ実践者に特有な単核球遺伝子マーカーと血中代謝物マーカーの同定を行う。遺伝子マーカーについてさらに定量PCR法による検定を実施する。また、初年度の護摩行実験で僧侶に見出された遺伝子マーカーと血中代謝物マーカーが,ヨーガ瞑想者においても特有の変化を示すのか比較する。 継続実験として,ヒト単核球細胞を用いた僧侶またはヨーガ熟練者に特有な血中代謝物(先行研究成果)の作用について検証する。さらに、ヒト単球性白血病細胞株を僧侶またはヨーガ熟練者に特有な代謝物存在下で培養したときに、抗ウイルス遺伝子群の発現誘導とともに、抗炎症性サイトカインの産生能が増強するのか確認する。
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Research Products
(2 results)