2018 Fiscal Year Annual Research Report
体内時計調節システムにおける内在性一酸化炭素の機能解明
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17H02208
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
北岸 宏亮 同志社大学, 理工学部, 准教授 (60448090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐上 郁子 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 研究員 (10143033)
根木 滋 同志社女子大学, 薬学部, 准教授 (50378866)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 一酸化炭素 / 体内時計 / 時計遺伝子 / 炎症 / 超分子錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は,前年度までに観測されたマウス体内におけるCO除去時の体内時計の乱れについて,データの詳細を詰めて論文として公表することに注力した。CO除去試薬であるhemoCDをマウス腹腔に投与すると,マウス肝臓内における時計遺伝子の発現量が変化する。この現象について,各時間域における肝臓内の内在性CO量,時計遺伝子の転写因子であるNPAS2おおびCLOCKの活性,炎症マーカーの定量を行った。その結果,内在性COが一時的に低減した際,NPAS2およびCLOCKの転写活性が一時的に上昇すること,その後内在性COが過剰に供給されることにより,NPAS2およびCLOCKの転写活性が下降すること,さらに内在性COの低減により誘発される炎症反応により,時計遺伝子の発現が比較的長時間(約19時間)にわたって乱れることを実験的に確認した。これらの成果をまとめてScientific Reportsに公表した。 さらに細胞モニタリングシステムであるクロノスを購入し,細胞内におけるリズム観測を開始した。細胞内COの濃度変化により,Per2の発現リズムに変化が生じることを確認している。今後はこの細胞実験におけるメカニズム解明について,注力して研究する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記したとおり,in vivoでの研究の詳細を詰めて,印刷公表することができた。生体内においてCOの濃度変化が体内時計システムに影響を及ぼす初めての研究例となった。しかしながら,論文投稿においてなかなか審査が受け入れられず,投稿開始時から半年以上経ってのアクセプトとなり,ここに多大な時間を要してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
クロノスを用いた実験により,体内時計とCO濃度の関係性が徐々に明らかになりつつある。今後は,体内時計とCOの関連性について,我々が昨年度に開発した細胞膜透過性COレセプターであるR8-hemoCDを活用しつつ解明を試みる。すでにリズムに変化が見られており,重要な知見が得られているが,メカニズムに言及するためにはさらなる検討が必要である。2019年度は,細胞内CO除去時における細胞内でのNPAS2の活性をRT-PCRやChIPアッセイにより観測することに注力する。
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Research Products
(13 results)